2014年2月10日月曜日

【清水和夫メールマガジン】第50号 アーカイブス 2013.1.10

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2013年1月10日 第50号
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レクサスISの実力

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 ついにレクサスが次期ISの外観を明らかにしましたが、昨年プロトタイプに試乗した際の印象について書きたいと思います。

 プロトタイプ試乗会は、スパイフォトの餌食にならないように、外観こそ明かされませんが、新型車に採用される新しい技術やメーカーの考え方をいち早く知るには都合がいいのです。このような発表前の事前試乗会は欧米では「ロングリード」と呼ばれ、頻繁に行われています。

 アメリカで生まれたトヨタの高級ブランド、レクサスはロングリードを「LEXUS Meet the engineer」と呼び、世界の主要国メディアを招いて開催しました。レクサスが最も売れているカリフォルニア州ロサンゼルス郊外で確かめた新型ISシリーズの実力を報告します。

 我々の前に姿を現したのはカモフラージュしたプロトタイプです。奇妙奇天烈な唐草模様のフィルムを纏っているので、かえって目立ってしまうのでは、と心配になります。今回明らかになったスペックはボディの3サイズだけですが、よく見ると全体のシルエットは想像できました。新型ISは2012年に市販されたGSのプラットフォームを基本として開発されています。そのためGSよりもコンパクトなボディですが、先代のISより若干大きくなりました。

 ボディサイズは先代のISよりも全長が75mm長くなり、4660mmとなりました。ホイールベースは70mm伸びて2800mm。これなら後席にゆったりと座れるでしょう。全幅は12mm広く1812mmとなりました。しかし小さな高級FR車として支持されてきたため、大きくなったことに不安を感じます。

 コンパクトな高級FR車のルーツは1980年代に登場したメルセデス・ベンツ190Eです。190Eこそ、現在のプレミアムコンパクトセダンのメートル原器です。190EからCクラスに発展し、ISはもちろんアウディA4やBMW3シリーズにも影響を与えています。レクサスISは190Eのエッセンスを持っていることが、大きな価値でした。少し大きくなったとはいえ、最近のCクラスや3シリーズを見てもわかるように1800mmがスタンダードとなっているので新型ISはグローバルには的を射ているといえます。

 ボディ技術は剛性と軽量化のために、接着剤やレーザー溶接などを多用しています。とくに接着剤はレクサスとしては新しい取り組みといえます。ISの開発を指揮する古山淳一チーフエンジニアは、エモーショナルな走りの実現を掲げており、そのためにも、ボディ剛性が重要であると述べています。たしかに、先代のISよりもステアリングの手応えはグッと重みを増し、タイヤのグリップ感がしっとりと伝わってきます。この感覚はBMW3シリーズに似ていると思いました。

 エンジンは3.5リッターV6と2.5リッターV6のガソリン・エンジンとさらに待望のハイブリッド「IS300h」が仲間入りしました。このハイブリッドには新開発の2.5リッター直噴4気筒エンジンが搭載され、トヨタ独自の2モーター・ハイブリッドTHSが組み合わされます。スペックは現時点でまだ未発表ですが昨年12月25日に発売した新型クラウンにも同じハイブリッドシステムが採用されるので、そこから推測すると最大トルクは300Nm前後のトルクを発生するはずで、このパフォーマンスなら充分な加速が期待できます。

 欧州ではそれまで販売していた2リッターディーゼルは姿を消し、IS300hが追加されました。つまり、レクサスはガソリン・ハイブリッドでディーゼル・エンジンに対抗する覚悟なのです。IS300hの燃費性能はBMW320dよりもCO2排出量で優位に立とうという目標を持っています。欧州混合モードのCO2排出量で100g/km以下を狙っているそうです。条件は異なりますが、日本ではリッター22km前後の燃費が期待できます。

 実際に乗ってみると、従来の退屈だと思われがちなハイブリッドではなく、肉食系とまではいきませんが、ある程度パフォーマンスと燃費性能がうまくバランスしていると感じました。そういえばISの名前は「インテリジェント・スポーツ」を由来としているので、ハイブリッドこそISにもっとも相応しいパワープラントかもしれません。

 特設コースでジムカーナを試しました。軽量なスポーツセダンらしく、3.5リッターV6を積むIS350は、非常にホットでした。濡れた路面ではドリフト走行も自在にと言いたいところですが、シャシー性能がまだ完成されていないので、タイヤが滑り出す領域では走りにくい部分もあったのも事実です。試乗会で酷使されたため、タイヤが偏摩耗していたことが原因のようです。

 IS350には8速トルコンAT、ベースモデルにはIS250には6速トルコンAT、ハイブリッドのIS300hには電気式CVTが組み合わされます。ということはISは、なんと三種類のギアボックスを持つのです。さらに、ステアリングもVGRS(可変ギアレシオステアリング)とノーマル・ステアリングの二種類が用意されます。さらにブレーキもハイブリッド用のバイワイヤーブレーキとノーマルブレーキが用意されます。色々なユニットがモデルごとに組み合わされるので、どれが本当のISの実力なのでしょう?

 おそらくハイブリッドが4番バッターであることは間違いありません。そして可能ならばハイブリッド車にVGRSのステアリングを組み合わせてほしいと思います。せっかく電気式CVTとエンジン特性を見直したことでリニアな加速が愉しめるようになったので、ダイレクトなステアリングVGRSが加わればIS300hは世界のライバルと戦えるでしょう。

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