2012年8月25日土曜日

【清水和夫メールマガジン】第15号 アーカイブス 2011.7.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年7月25日 第15号
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モビリティとはなにか 後篇

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 前回は東日本大震災に直面し、モビリティの意味を見直してみようということを書きました。そしてこれから求められる多様性についてどうあるべきか私の考えを書きたいと思います。

 自動車は都市部でしばしば不要論すら議論されますが、公共交通のない地方で自動車は平時でもライフラインでした。自動車は人々の生活には欠かせない移動手段であり、移動することが生きることそのものなのです。被災地で医療チームの移動をアシストするボランティア活動を続けながら、自動車は人々にとって生きるための道具であると改めて知りました。これは自動車が誕生した100年前の社会から振り返ると理解できます。

 人々が自由に移動できるようになって、欧米では街の概念が19世紀の馬車の時代から変化しました。人々は子供を育てやすい郊外に住み、街の中心部は働く場所と定義づけた。こうして都市の中心部と郊外という概念ができあがったのです。その意味では自動車が街を作ったといっても過言ではないでしょう。

 それは現代の新興国を見ても同じです。成長著しいインドの都市では出稼ぎに来る父親をみかけます。しかし彼は交通手段がないため、通勤していません。もしも20km離れた場所に移動できる交通手段があれば、家族にひと切れのパンを与えることができるのです。オートバイに四人乗ったり、小型軽トラックの荷台にあふれんばかりの人々が乗った姿は戦後の日本と同じといえます。

 しかし生きるための道具として自動車が普及するとともに、公害や事故が必ずクローズアップされます。これは自動車先進国が通ってきた共通の問題です。今の新興国は日本の1960~70年代と同じような状況かもしれません。日本ではこの時代に国民車たる軽自動車以外の小型乗用車は贅沢品と扱われていました。年間の交通事故死者が1.6万人におよんだ1970年頃は「自動車は走る凶器、走る棺桶」と揶揄されました。私が免許を取得し、自動車に乗り始めた時代です。

 排ガス規制が施行されると自動車は公害車ともいわれました。現代でも次世代車たるエコカーのことを「低公害車」と書かれる場合があります。あるいは「凶器・棺桶・公害」という不名誉なレッテルを貼られたのは、自動車の普及の段階で性悪説に立たされていたからではないでしょうか。

 そして現代は円高、関税問題、電力不足など自動車産業は今までにない新たな挑戦を強いられています。しかし、そろそろ自動車のレッテルを張り替える時期に来ているのではないでしょうか。皮肉にも震災で自動車が重要なライフラインであることが再認識されたことで、自動車はもっと多くの人々に役にたつべきだと意を強くしたのです。つまり、自動車性悪説のレッテルを取り除くことで、自動車が社会や人々の暮らしにどのように役立つのか、根本から考え直す時期と考えられるのです。

 現代の新車の安全性は驚くべき進化を遂げています。例えばスバルのアイサイトのように自動的にブレーキをかけてくれたり、人間の目が届かない場所をレーダーやカメラで見張ってくれて、歩行者や後続車の接近を警報する装置も実用化しています。これまでのように凶器や棺桶とは呼ばせない技術といえるでしょう。

 環境性能では有楽町で吸う空気よりも最新の日本車のテールパイプから排気ガスを吸ったほうが綺麗といえるかもしれないくらいです。つまり、最新の自動車は都市部の大気を浄化しているといえます。燃費でもマツダのスカイアクティブというガソリンエンジンが登場し、ハイブリッドシステムがなくてもリッターあたり30kmの走行が可能となりました。

 多くの人がEVこそ次世代の自動車だと思っていますが、これからが本当にガソリンやディーゼル車が進化する時代となったのです。しかも自動車は見方を変えれば動く発電機といえます。トヨタ・ヴィッツのような小型車一台で50世帯に電力を供給できる能力を持っているのです。

 安全性が高められた自動車は、公害車としての側面だけではなくライフラインとしての意義をもっと重視されるべきです。そして、いまこそ自動車はさらに多様化し、石油以外のエネルギーでもエンジンはクリーンに燃焼することができるようになる必要があるのです。電気、水素、バイオマス、エタノール、天然ガスなど多様なエネルギーを使って、人々が移動してこそ、地産地消が可能となります。だから、一人でも多くの人の役にたちたいと願うなら、自動車の多様化が不可欠なのではないでしょうか。

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