2012年10月10日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第18号 アーカイブス 2011.9.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~

2011年9月10日 第18号
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ASEANリポート第一弾

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 中国とインドの巨大な市場に挟まれるASEAN市場は、これからのアジア市場の重要なカギを握っているのではないでしょうか。

 私は昨年1月にインドデリーの自動車ショーを取材し、その後つづけて中国・北京、インドネシア・ジャカルタで行われた自動車ショーに足を運びました。
そして11月にはホンダのブリオが発表されると聞いて、タイのバンコック自動車ショーも取材しました。その経験から感じたことは、日本の1970年代と同じく、自動車の普及が経済成長のシンボルとなっているということです。

 今回から数回にわたり、ASEAN三カ国(タイ・マレーシア・インドネシア)の自動車市場についてレポートするつもりです。二つの大国に挟まれるASEANは地政学的には実に面白い市場ですが、ASEANとて単一市場として存在することは難しく、周辺国との関係あるいは国際社会の中で、どのように位置づけられるのでしょうか。ASEANを取り巻く環境から考えてみましょう。

巨大なアジア経済地域の中のASEAN

 アジアというと一般的には中国をイメージしてしまいますが、地図を広げてみると、ロシアを除いても実に広大な地域に広がっていることに気づきます。総務省のデータによると、この地域の人口推移は2050年にはなんと約90億人と予測しているのです。しかもその多くがアジアで増加することが示されています。

 すでに中国、インド、ASEANの各地域では自動車が爆発的に売れ始め、間違いなく巨大な市場が形成されることが予想されています。もちろん、急速なモータリゼーションは日本が経験してきたように都市の排ガス問題、交通事故問題、渋滞、さらにエネルギーセキュリティという魔の四点セットがつきまとうでしょう。こうした負の問題を抱えながらどのようにモータリゼーションを発展させるのか、明るい話題だけではなさそうです。アジアの一員である日本の役割は、とても大きいと思うのです。

 このメルマガをお読みになっている多くの方は、自動車産業という側面でASEANへの興味を持っていると思いますが、根源的にはアジアの人々がモータリゼーションによって移動の自由が守られ、多くの人の生活が豊かなになるという自動車本来の役割を忘れてはいけません。

 WBCSD(世界自動車会議)では、その国のGDPと国民ひとりひとりの移動距離は比例するというデータを発表しています。その意味ではアメリカが飛び抜けて移動距離が長いのは、土地が広いからだけでなく、広い土地を自由に移動できる航空機の発展があるからでしょう。自動車とともに飛行機がアメリカの富を支えてきたといえます。

 ということで大国中国の本当の成長は、国民ひとりひとりの移動距離がどのくらい伸びるのかにかかっているように言えます。日本の60年代がそうであったように、中国に於ける自動車の発展とモータリゼーションは、新しいライフスタイルを産み出すことは間違ありません。

 しかし21世紀的に考えるならば、環境意識を高めた自動車政策がとても大切となってくるのです。モータリゼーションが過熱するアジアの国々が、どのような環境意識を持っているのか、ここも重要な論点となるでしょう。

中国とインドに挟まれるASEAN

「乾いた砂漠に水を撒くように自動車が売れる」というのは、あるドイツメーカーの関係者の言葉ですが、アメリカメーカーの関係者も「2015年には3500万台市場」と中国の大胆な成長ぶりを予測しています。実際に今年の上海自動車ショーでは「中国の自動車市場がどれほど成長するか」で盛り上がっていました。

 たしかに13億人の中国が先進国なみの自動車普及率を達成すると、とんでもない数字になるかもしれません。しかし、中国で懸念されることは日本と同じ高齢化社会をすでに迎えているということではないでしょうか。

 産児制限を行い、人口増加を抑制してきたつけが、労働力の確保という自動車産業にとって大きな課題として生まれつつあります。自動車の販売台数の巨大な数字に隠れた今後の中国の先行きは、誰も予測できないのではないでしょうか。

 一方で中国と並んで人口の多い国がインドです。こちらは産児制限がないために、2030年には中国の人口を抜き、世界一の大国となると期待されています。しかし経済圏としてのインド諸国であるバングラディッシュやパキスタンを含むと、2005年にはインド諸国の人口は14.5億人(インドだけでは11.3億人)と13.1億人の中国をすでに抜いています。さらに、あと数十年は綺麗な形の人口ピラミッドを維持するので、当分良質な労働力が期待されます。

 しかも中国のように現地メーカーと合弁しなくても、単独で進出できるので、海外メーカーは投資しやすいのも有利です。このような理由から、インドの未来は希望に満ちているといえます。

 インドといえばスズキ自動車が先駆者として大きな存在感を示していますが、最近はトヨタ、ホンダ、日産も現地での生産体制強化を進めており、日本の自動車産業が本気でインドに進出しつつあるといえます。中でもホンダは二輪事業の成功体験から、四輪事業も拡大したいと伊東孝紳社長は積極的です。

 このように大国の中国とインドに期待が集まるなか、両国に挟まれるASEANの自動車産業がこれからどのように成長するのでしょうか。次回はいよいよ本論に入ってきたいと思います。

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