2012年6月11日月曜日

【清水和夫メールマガジン】第10号 アーカイブス 2011.5.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年5月10日 第10号
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電気自動車時代のエネルギー問題

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 3月11日に大地震が発生し、地震による被害だけではなく、それに伴う津波によって大災害となったのは周知のとおりです。さらに、この大災害には東京電力の福島第一原子力発電所の危機も含まれています。今回は昨年発表された日産のEV、リーフと日本の今後のエネルギーの問題について考えてみたいと思います。

 日産がリーフを横浜の本社で発表した時、そのボディの大きさと左ハンドルに違和感を覚えました。日本におけるEVは、三菱やスバルが東京電力と協力して国内向けにスタートしたのですが、日産はフランスのルノーの後押しもあって、グローバルでEVを普及させることを念頭においていたのです。

 EV旋風が吹き荒れる日本では、カルロス・ゴーンCEOが年間6000台の販売をコミットしたことも話題となりました。台数を明言したのは、神奈川県などの地方行政もその補助金予算を確保する必要があるからです。比較的安価な種類のリチウムイオンを使うリーフですが、利益を出すにはたくさんの台数を売る必要があるのです。その意味では補助金は必要といえます。

 リーフの価格は300万円ですが、質感と5年以上乗った場合の燃料代を考慮すれば高くないかもしれません。時代の最先端を行くクルマに乗る優越感の代金だと考えるべきでしょう。販売を急ぎすぎる日産のEV戦略には賛同できませんが、クルマは相当に出来が良いです。全長4455mm、全幅1770mm、全高1550mmと立派なサイズですが、全世界で販売するには最低限の大きさです。背が高いボディフォルムはキャビンの広さを連想させます。全体的にボリューム感があるスタイリングをもっていますが、フロントノーズの先端には充電用の口が付いていてEVであることを主張しています。

 軽自動車ベースで仕立てられた三菱i-MiEVとは異なり、リーフはEV専用車として開発したことが大きな特徴です。EVというと重量やコスト、後続距離が課題となるので、どうしても小さなボディで開発したくなります。しかし、日産はあえてその常識に囚われていません。むしろ都市部のユーザーを考えて、デイリーの走行距離などから検討した結果のボディサイズなのでしょう。もちろん、このリーフの後にはルノーが開発した二人乗りのスモールEVも市販化が計画されています。

 電気エネルギーとEVは密接な関係にありますが、これからEVはどうなるのでしょうか? 日産リーフを試乗した翌日に地震が発生したのは偶然だったのでしょうか? いろいろ考えさせられました。

 その試乗で感じたことは、まず内装が驚くほど「質感が高い」ということです。300万円に相応しいレベルに仕上がっています。EVなのでエンジンのスターターはありませんが、起動ボタンを押すと数秒後に走行準備が整ったことが表示されます。万が一、充電器が差し込まれていると安全のために走行はできないようになっているのです。

 インパネで気になるのはアメリカで話題のスポーツEVのテスラや前述のi-MiEVと同じく、残りの走行距離を知らせるメーターがわかりやすいかどうかです。エネルギー密度が低いバッテリーでは航続距離の判断はとても重要なのです。この表示はモード燃費で計算した値と、過去数十分前まで走行していた実際の電力消費率の二つの数字が表示されます。

 基本的には後者が実電費なので短く表示されますが、長い下り坂を走った場合などは、実電費で計算される航続距離は長くなるので、上り坂を走ると大きな計算違いをすることになります。しかし、たとえば昨年試乗したアウディQ5ハイブリッドではカーナビの標高差を計算し、もっと正確な走行可能距離を表示します。カーナビ先進国の日本なのに、こういったことに対応していないのは残念と言えます。

 走行感覚はとても気持ちよいものを持っています。静かで力強い加速はEVプレミアム。他のEVで見られるモーターの回転数が高まったときの高い周波数の音も抑えられています。モーターのトルクは280Nmで、3リッターV6エンジン並のトルクに匹敵します。さらに電流が流れた瞬間に最大トルクを発生するモーターは、エンジンとは異なるトルク特性を持っています。電動パワーステアリングも自然な手応えを示し、乗り心地も快適です。サスペンションのストローク感も悪くありません。つまりリーフ自体はたいへんよく仕上が
ったいいクルマなのです。

 問題は日本のEV戦略です。もともとEV戦略は夜間電力(原子力発電)を無駄なく使いたいという施策の一環として計画されました。しかし、本来はそんな企業の都合ではなく、ユーザーの利便性をもっと考慮したEV戦略を打ち立てるべきなのです。補助金と急速充電器のインフラ整備でEVのユーザーを釣ろうとしても、そう甘くはありません。「もっとじっくりといきましょうよ、日産さん」と言ってあげたいものです。

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