2014年4月11日金曜日

【清水和夫メールマガジン】第54号 アーカイブス 2013.3.10

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清水和夫メールマガジン〜自動車大航海時代〜
2013年3月10日 第54号
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道路の通行区分から考える2030年のクルマ作り

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 今回は自動車の走る通行区分の話です。世界は右側通行の国が多く、日本のような左側通行の国はマイノリティといえます。そもそも、なぜ世界共通になっていないのか不思議に思う人もいるでしょう。しかし、各国それぞれ独自の理由や背景があるのです。今回はそういった理由や背景を解説し、今後どうなっていくのか現状から予想したいと思います。

 まず左側通行の日本ですが、諸説ある中で私がもっともらしいと思う説を紹介します。時は江戸時代(1603年〜1868年)にさかのぼります。参勤交代と呼ばれる当時の制度により、地方の武士は中央の江戸への定期的な出仕が求められ、整備された街道を長旅していました。そういった行き来によって武士が街道をすれ違うことが多かったのですが、武士は左腰に挿し物(刀)があります。そのため右側通行にしてしまうと、対向から来た武士と鞘があたってしまう恐れがあったのです。

この時代の左側通行の習慣が現代につながっているのかもしれないのです。おそらくイギリスもナイト(騎士)がいたので同
じく左側通行となったのではないかと私はにらんでいます。

 一方、ほかの欧州は右側通行の国がほとんどです。これは馬車の時代に右手で鞭を使うことが多いので、対向から来た馬を鞭で打たないように右側通行が多いのでは、といわれています。

一旦通行区分を決めてしまうと、道路はもちろん車もそれにあわせてハンドルの位置が決められてしまうため、政府としても国民としても一朝一夕には変えたくはありません。

しかし、スウェーデンのように周辺諸国にあわせて、従来左側通行だったのが1967年に変更した例もあります。これにはきっと大きな苦労があったでしょう。

さらに日本のように第二次大戦後、沖縄がアメリカの統治下にあったため、やむを得ずアメリカと同じ右側通行だったのを、日本返還後の1978年に左側通行に戻った例もあります。

つまり、英国の植民地だった過去がある国はいまでも左側通行が多いようです。逆にポルトガル、スペイン、フランスなどの植民地は右側通行です。アジアではそういったケースが混在しているのです。

 左側通行と右側通行の国を人口や台数で較べると、現状では中国をはじめとして右側通行の国が多くあります。左側通行の自動車市場は少し前まで日本とイギリスと南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアなどしかありませんでしたが、最近ではインドやインドネシア、タイなどの新興国で自動車保有台数が増加しています。

これらはいずれも左側通行で右ハンドルの国です。やがて2030年頃になると右ハンドル車の生産台数が左ハンドル車の台数を逆転するという予想もあります。インドやインドネシア、タイなどのASEAN諸国の成長はめざましいためです。

 クルマ作りについて述べるならば、以前は左ハンドル車のほうがペダルレイアウトに違和感がありませんでした。これは従来までのFF車の設計ではタイヤハウスの張り出しが車内のスペースに割り込んでしまっていたためです。

左ハンドルはタイヤハウスの張り出しをフットレストのスペースで吸収できるのです。反対に右ハンドルはアクセルペダルが左側に追いやられてしまい、小さなFF車ほどいびつなペダルレイアウトを強いられてきました。

そういった点で左ハンドル、右側通行には一定のメリットがあったといえます。しかし近年、右ハンドル車でもマツダの新型モデルやホンダの軽自動車、フォルクスワーゲン・ゴルフ7に代表されるMQBプラットフォームやポルシェの新型911など車体の設計に工夫を凝らしてこれを打破しています。

具体的に述べましょう。マツダCX−5の新しいプラットフォームの特徴は、フロントタイヤが50mm前方に移動したことです。タイヤが前進したことでホイールハウスがキャビンの中まで張り出すことがなく、アクセルペダルの位置をFRと同じような右側に配置できたのです。
 
 前述のようにFF車はどうしてもホイールハウスがキャビン内に張り出し、右ハンドル車のアクセルペダルが左に寄って配置されるケースが多くありました。このペダル配置の悪さは、日本のコンパクトカーの大きな欠点となっていました。知らず知らずに体を傾けて運転していたのです。

こうした不自然なポジションは、アクセルの踏み間違え事故の原因になっているかもしれません。踏み間違いはお年寄り、と決めつけていないでしょうか。ペダルレイアウトの不自然さが人間のミスを誘発していたのかもしれないのです。

さらに右ハンドルでもアクセルペダルをきちんと右側にレイアウトできるメーカーは今後新興市場で成功する大きなポイントを得るでしょう。先に述べたように世界の趨勢は右ハンドル車市場に傾きつつあり、そういった国々への進出をする自動車メーカーはプラットフォーム革新が求められているのです。

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