2012年7月26日木曜日

【清水和夫メールマガジン】第13号 アーカイブス 2011.6.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年6月25日 第13号
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マツダ新時代の幕開けはすぐそこ

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 2011年6月30日、マツダからSKYAKTIVのデビュー作となるデミオが発売されます。とりあえずはガソリンエンジンのみですが、ここからマツダが一時代を築くかどうかの大きな分岐点に立っていることは間違いありません。そこであらためて「SKYAKTIV-G」(ガソリン直噴)と「SKYAKTIV-D」(ディーゼル)の革新性を正しく理解するために、まずガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いをおさらいしてみたいと思います。

 まず使われる燃料の違いを理解しないとガソリンとディーゼルエンジンを正しく理解することはできません。ガソリン燃料はディーゼルで使う軽油と同じ石油から作られますが、空気と混ざりやすいですけれど燃えにくい性質を持っています。たとえばガソリンが入った容器に火の着いたマッチ棒を突っ込んでも火は着きません。また、床にガソリンをこぼした時に燃え始めるのは、こぼれた部分ではありません。ガソリンが気化して空気と混ざった所に火が着くのです。その証拠にガソリンエンジンは燃焼するためにプラグ(火種)が必要なのです。

 一方、ディーゼルエンジンの燃料となる軽油はガソリンとは異なり、燃えやすいが空気と混ざりにくいという性質を持っています。混ざりやすいけれど燃えにくいガソリンの場合は、実際の燃焼はガソリンと空気の混合気を筒(ピストン)の中でぎゅっと圧縮、そこに火花(プラグ)で着火します。いっぽうの混ざりにくいけれど燃えやすいディーゼルの場合、筒の中では空気だけが圧縮されます。従来のディーゼルはガソリンよりも圧倒的に高い圧力で圧縮され、高温となった空気に軽油を噴射すると自然着火するのです。このようにガソリンとディーゼルはまるで性質が異なる内燃機関であることは、実は燃料の性質
の違いからくるものなのです。

 「SKYAKTIV-G」と「SKYAKTIV-D」で驚いたのは、仕組みが違うガソリンエンジンとディーゼルエンジンであるのに、「14」という共通の圧縮比を持つことです。市販モデルの中でも圧縮比が高いとされるポルシェやアウディの直噴エンジンの圧縮比が12.5~12.6、最新のメルセデスのV6エンジンでも12.2。そのことを思えば、「SKYAKTIV-G」がいかに高圧縮であるかがおわかりいただけると思います。

 逆に、「SKYAKTIV-D」はディーゼルの常識を打ち破る低い圧縮比の限界に挑んでいます。ポスト新長期規制をクリアした日産のクリーンディーゼルが15.6、三菱のクリーンディーゼルが14.9なのですから「SKYAKTIV-D」の圧縮比の低さは際立っているといえます。では、なぜガソリンは高圧縮に挑み、ディーゼルは低圧縮を追求するのでしょうか?

 まずはガソリンエンジンから深掘りしてみましょう。圧縮比を高めれば高めるほど、排気量や燃料の量が同じでもピストンを動かす力が強くなるということはご理解いただけると思います。したがって圧縮比が高いと熱効率が高まります。同じ量の燃料を燃やすのであればパワーとトルクが増し、同じ大きさのトルクを得るのであれば、より少ない燃料でまかなうことができるのです。

 圧縮比を上げればパワーも上がって燃費も上がると、いいことずくめのようです。しかし、ここで高圧縮比を阻む要因が表れる。圧縮比が高すぎるとノッキング(異常燃焼)によってトルクが下がってしまうのです。したがって自動車メーカー各社がどんなにがんばっても、圧縮比は12台なかばから後半が精一杯のところでした。従来から高い圧縮比を持つ高性能エンジンはハイオクガソリンを使うことがあります(高いオクタン価やノッキングのしにくさ)。しかし、「SKYAKTIV-G」は欧州で流通している「95オクタン」の燃料をベースに開発されています。

 さて、ノッキングを防ぐための「SKYAKTIV-G」の技術的ブレークスルーは意外なことにタコ足でした。ノッキングの発生要因を調べると、シリンダー内の残留ガスが“主犯”であり、これを捕まえるのがタコ足なのだ。ご存じのように、4ストロークエンジンは(1)吸入→(2)圧縮→(3)燃焼・膨張→(4)排気というサイクルで作動します。ここで、(4)の行程で燃焼ガスをすべて排気できていればいいのですが、実際はシリンダー内にガスが滞留してしまいます。これが残留ガスです。

 マツダの試算では、750℃の高温残留ガスが10%残ったとすると、吸気温度が72℃も上がったのと同じことになってしまうというのです。ここでマツダは知恵を絞り、「4-2-1」形状の排気系を開発しました。この長いタコ足のおかげで、残留ガスは8%から4%に半減しました。残留ガスが減ったということは温度を下げることに成功し、フレッシュな空気が入ってくるということでもあります。結果として、圧縮比を従来より3ほど高くすることができたといいます。

 圧縮比が3高くなると燃費が8~9%向上するとマツダは謳っています。ただし、排気系が長くなると今度は触媒の温度が下がり、触媒の浄化能力が低下してしまうという“痛し痒し”が起こるのです。ホンダのシビック・タイプRは、これが理由でステージから姿を消してしまったわけですが、マツダはうまい解決策を見つけました。バルブタイミングとバルブのリフト量を可変とする装置を活用、排気バルブから掃気されたうちの一部を触媒に持って行ったのです。これで触媒の浄化能力は維持されることとなったのです。

 タイプRを思うと、“タコ足の光と影”だと言えるでしょう。ほかにも、高圧縮にしてもノッキングしないようにピストン上面の形状を工夫するなど、細部にまで気を配ることで「14」という驚異的な高圧縮比を実現しているのです。

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【DST#番外篇】2010年旋回ブレーキトップ10、1位~3位 / 10 best Wet braking and cornering(5分16秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2011/06/13.php

【DST#番外篇】2010年旋回ブレーキトップ10、4位~6位 / 10 best Wet braking and cornering(5分26秒)
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【DST#番外篇】2010年旋回ブレーキトップ10、7位~10位 / 10 best Wet braking and cornering(6分48秒)
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清水和夫と巡る人とクルマのテクノロジー展 -前編- / Automotive Engineering Exposition (6分45秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002526.php

清水和夫と巡る人とクルマのテクノロジー展 -後編- / Automotive Engineering Exposition 2 (5分58秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002525.php

トヨタ鞍ヶ池記念館でトヨタのルーツを学ぶ?@ / TOYOTA Kuragaike Museum part.1 (3分51秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002521.php

トヨタ鞍ヶ池記念館でトヨタのルーツを学ぶ?A / TOYOTA Kuragaike Museum part.2 (5分35秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002522.php

トヨタ鞍ヶ池記念館でトヨタのルーツを学ぶ?B / TOYOTA Kuragaike Museum part.3 (5分0秒)
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燃料電池車F-Cellで世界一周の旅(前篇) / MERCEDES-BENZ F-Cell World Drive 1 (4分33秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002531.php

燃料電池車F-Cellで世界一周の旅(後篇) / MERCEDES-BENZ F-Cell World Drive 2 (6分26秒)
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交通事故死傷者ゼロを目指して「ゼロクラッシュジャパン」トークショー2011 / Zero Crash Japan 2011 Talkshow ?@(5分38秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002537.php

交通事故死傷者ゼロを目指して「ゼロクラッシュジャパン」トークショー2011 / Zero Crash Japan 2011 Talkshow ?A (5分38秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002538.php

交通事故死傷者ゼロを目指して「ゼロクラッシュジャパン」トークショー2011 / Zero Crash Japan 2011 Talkshow ?B (5分37秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002539.php

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2012年7月10日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第12号 アーカイブス 2011.6.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年6月10日 第12号
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新時代を迎えた燃料電池

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 2011年6月1日、ドイツ・フランクフルト。メルセデス・ベンツの燃料電池車F-Cellによる世界一周の旅が、いよいよ最後のステージを迎えました。私は栄誉ある最終区間のドライバーとしてステアリングを託され、無事にゴールさせることができました。1月29日にシュツットガルトを出発した燃料電池車は、アメリカ大陸~オーストラリア~ユーラシア大陸を経て、この日ふたたびシュツットガルトに帰って来たのです。

 この旅で実際に水素ステーションで充填したり、ライプツィヒの水素製造会社を取材したことで、実用化に向けたドイツの取り組みがとてもよくわかりました。燃料電池は現代でこそ次世代のパワープラントとして認識されていますが、どのような経緯を辿ったのでしょうか。そしてそもそも燃料電池とは何かについて書きたいと思います。

 燃料電池は約170年前、英国ウェールズのウィリアム・グローブという裁判官が考案したとされています。しかし、エネルギーとして実用化されたのは1960年代にケネディ大統領が推進した宇宙開発まで待たねばなりませんでした。初の有人宇宙船ジェミニに搭載された電源が、この燃料電池だったのです。

 狭い船内で水素と酸素を燃料とし、電気と水と熱を生成しました。その後、一般には定置型の発電装置として燃料電池は実用化していますが、自動車に搭載できる大きさではありませんでした。自動車の世界で話題となったのは、小型化の可能性がでてきたあたりからです。

 ここで改めて燃料電池の原理を簡単に説明しておきましょう。燃料電池は英語では「Fuel Cell」と呼ばれていますが、その原理について説明します。その仕組みは意外と簡単です。むしろ内燃機関よりも理解しやすいでしょう。

 子供のころ、化学の授業で習った水の電気分解を思い出せばいいのです。塩化ナトリウム水溶液に電気を流すと、「水素」と「酸素」が生成されます。この逆の反応を行うとどうなるでしょう。つまり水素と酸素をある条件で結合させるとその結果、「電気」と「水」と「熱」が生成されるのです。

 一見単純なこの原理には実に見事な自然科学の神秘が隠されています。宇宙を創造した神がここまで考えて大宇宙を設計したとしたら、僕は無神論者ではいられなくなるでしょう。

 この原理を応用した発電装置を燃料電池と呼んでいます。この技術は映画『アポロ13号』にもでてきます。実話に基づく映画の中で宇宙船で事故が起きるのですが、それが燃料電池でした。ジェミニ宇宙船の登場以来、宇宙船や衛星の電源に燃料電池が採用されており、定置型発電器としてはすでに実用しています。

 しかし燃料電池を自動車に利用することは、定置型よりもハードルが高いのです。まず自動車に使うには、前述のように小型で軽いものが必要です。宇宙船や自動車に使う燃料電池は陽子交換膜型・燃料電池と呼ばれるもので、英語ではプロトン・エクスチェンジ・メンブレン(PEM)と呼ばれています。日本語では固定高分子型となります。あるいはPEFC(プロトン・エクスチェンジ・フューエルセル)と呼ばれることもあります。

 その発電原理はシンプルです。水素原子の陽子しか透過させない薄い膜を置きます。陽子は膜を通過して、その先で酸素と出会えますが、電子は外部回路を通らざるを得ません。この電子の動きが電流となるのです。電子の交換を行い電気を発生するPEM型燃料電池は、水素を燃料としています。このPEM型燃料電池はポータブルであるため自動車だけでなく、家庭用の電気器具までその用途が広がりつつあります。

 この技術こそポスト化石燃料の四番バッターであることは間違いないのですが、問題はどうやって水素を作るか、あるいは水素を貯蔵するか、ということです。これを書くとまた話が長くなるので、続きは次回に。

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【DST#023】トヨタ・ヴィッツ vs ホンダ・フィット・ハイブリッド / TOYOTA Vitz 13F vs HONDA Fit Hybrid
(加減速篇)
http://www.startyourengines.jp/dst/2011/06/023_1.php

(ハイスピードライディング篇)
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(ダブルレーンチェンジ篇)
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(旋回ブレーキ篇)
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フォルクスワーゲン初のハイブリッド トゥアレグ・ハイブリッド/VOLKSWAGEN Touareg Hybrid(15分47秒)
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清水和夫が上海でイベントのプレゼンターに! / Car and Driver China, The Most Beautiful Automobile Award China 2011 (3分7秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/05/002509.php

マツダの中国戦略を聞く / MAZDA China Interview (22分5秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002510.php

ロータスに久々のATモデルが登場 / LOTUS Evora IPS (1分50秒)
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おおらかなアメリカを具現した? マスタングV6クーペプレミアム / FORD Mustang (5分50秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002452.php

F1が日本の公道を初走行! / Red Bull Energy For Japan (4分3秒)
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清水和夫と巡る人とクルマのテクノロジー展 -前編- / Automotive Engineering Exposition (6分45秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/06/002526.php

清水和夫と巡る人とクルマのテクノロジー展 -後編- / Automotive Engineering Exposition 2 (5分58秒)
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2012年7月4日水曜日

2012年6月26日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第11号 アーカイブス 2011.5.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年5月25日 第11号
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原発事故に見る欧米と日本の安全思想の違い

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 以前、メルマガで自動車産業のサプライチェーンについて書きました。その後、地震と津波で被災した多くの部品メーカーの影響は収まるどころか、ますます世界の生産工場への影響が拡大しています。この件で、幾つかの自動車メーカーの幹部と話しましたが、三次サプライヤー以下の部品メーカーの被害実態は想定外だったそうです。

 自動車の場合、下請けメーカーの中には世界シェアが70%以上もある「オンリーワン技術」を持った企業があります。自動車産業の構造がピラミッド化しているのは水面より上のサプライヤーですが、水面下では一つの企業に集中する部品もあるわけです。つまり、以前このメルマガでも書いたように、ピラミッドではなく菱形のような構造といえます。

 北茨城で塗料に混ぜるマイカを生産している塗料会社は、世界中ほとんどの自動車メーカーと取引しています。パールホワイトに混ぜる原料としてマイカが必要なのですが、その塗料会社が被災し、影響を受けたあるメーカーはパールホワイトが生産できず、商品のラインナップからその色をはずさざるを得ない状況に追い込まれました。カタログを刷り直すなど、影響は小さくありません。また、ゴムパッキンやオイルシールを生産しているあるメーカーは、原料(石油)が入手できずに供給が止まったままです。

 このように日本の自動車産業は裾野が広く、日本でないと作れない部品が多いことがわかりました。とはいえ、それに甘んじることは許されません。阪神淡路大震災の時に神戸港が被災しましたが、復興までの2年間で韓国の釜山港に物流量が多く移ってしまいました。復興に遅れると日本の自動車産業の底辺が根こそぎ海外に行ってしまうかもしれません。虎視眈々と狙っている国はたくさんあるのです。

 そこで重要なのは震災復興の要となる電力です。しかし、東京電力の原子力発電所事故によって、電力供給量が低下し、産業界に大きな影響を与えることが懸念されています。その裏側には原子力発電の重要性を主張したいという、さまざまな思惑があるようにも思えますが、はたして産業界への電力供給か原発のリスクか、国民は大きな関心を持って見守っていかなくてはなりません。

 地震と原発事故はいつの時代も人々を恐怖に陥れます。しかし、なんとなくその問題を風化させてきた我々の社会は、今回の津波では取り返しのつかない事態を起こしてしまいました。「想定外」の災害という言葉が、関係者や多くの専門家の口から聞こえてきた時、私は、まっさきに自動車安全で学んでいた「欧米と日本の安全思想の違い」を思い出しました。

 福島第一原子力発電所の被害は想像を絶する事態に発展しています。放射能汚染という未曾有の事態が今も進行中なのです。この原稿を書いている段階でも原発がのっぴきならない状態になってしまっています。

 1300万人が住む大都市東京。昼間は近県からもっと多くの人間が通勤して来る日本の首都です。その首都は電気がないと電車もエレベーターも水も使えません。しかも追い打ちをかけるように電力会社はこれまで国民に「オール電化」を推進してきました。その裏側には電気エネルギーの需要を高め、さらなる原子力推進を目論んでいたのです。しかも、原子力で発電した夜間の過剰電力を売る狙いで三菱自動車と富士重工業を巻き込み、電気自動車(EV)の促進を進めてきたのです。日本のEVブームの背後には原子力発電を黙認するシナリオがあったのです。

 日本と欧米の安全思想の違いは、今回のケースだけでなく、昨年起きたトヨタのリコール問題や過去の自動車安全にも通じるといえます。参考になる文献として明治大学理工学部の向殿(むかいどの)政男教授の論文があります。論文には精神論や責任論が先行しやすい日本では、事故が起きた時の対応が遅れることがしばしば見られると書かれています。国民をパニックにしてはならないという大儀のために、最悪の事態は最悪の事態が起きた後で発表されるのです。

 リコール問題でも日本の制度ではメーカーの判断で発表できません。許認可権を持つ国にしっかりと説明し、その対策案が決まってからリコールを発令し、行政への報告がユーザーよりも先行するという矛盾が生じるのです。欧米では被害拡大を防止することが最優先となるため、ユーザーあるいは国民への情報開示が迅速に行われるのです。

 自然災害の後に起きた政府や東電の対応のまずさは、人災と言えるでしょう。長い間、大本営発表に慣れてきた我々は、メディアもユーザーも安全思想に大きな過ちがあります。これは私の過去30年にわたる取材活動で得た一つの結論なのです。

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新しいEVのスタンダードになれるか?日産リーフ / NISSAN Leaf (16分59秒)
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スズキ歴史館を訪ねて(前篇) / SUZUKI PLAZA (13分45秒)
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スズキ歴史館を訪ねて(後篇) / SUZUKI PLAZA (12分47秒)
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ゼロクラッシュジャパン「通過交通を考える」闇坂編 / Zero Crash Japan(11分56秒)
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フランスにも7シーターワゴンはある プジョー308SWプレミアム / PEUGEOT 308SW (6分51秒)
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被災地チャリティトークセッション / JAPAN Disaster 5 (52分15秒)
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【世界のモーターショー】オート上海2011リポート1 / Auto Shanghai 2011 Part.1(7分24秒)
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【世界のモーターショー】オート上海2011リポート2 / Auto Shanghai 2011 Part.2(8分31秒)
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ダイナミック・セイフティ・テスト・シーズン2ハイライトシーン / Dynamic Safety Test Season2
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2012年6月11日月曜日

【清水和夫メールマガジン】第10号 アーカイブス 2011.5.10

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2011年5月10日 第10号
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電気自動車時代のエネルギー問題

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 3月11日に大地震が発生し、地震による被害だけではなく、それに伴う津波によって大災害となったのは周知のとおりです。さらに、この大災害には東京電力の福島第一原子力発電所の危機も含まれています。今回は昨年発表された日産のEV、リーフと日本の今後のエネルギーの問題について考えてみたいと思います。

 日産がリーフを横浜の本社で発表した時、そのボディの大きさと左ハンドルに違和感を覚えました。日本におけるEVは、三菱やスバルが東京電力と協力して国内向けにスタートしたのですが、日産はフランスのルノーの後押しもあって、グローバルでEVを普及させることを念頭においていたのです。

 EV旋風が吹き荒れる日本では、カルロス・ゴーンCEOが年間6000台の販売をコミットしたことも話題となりました。台数を明言したのは、神奈川県などの地方行政もその補助金予算を確保する必要があるからです。比較的安価な種類のリチウムイオンを使うリーフですが、利益を出すにはたくさんの台数を売る必要があるのです。その意味では補助金は必要といえます。

 リーフの価格は300万円ですが、質感と5年以上乗った場合の燃料代を考慮すれば高くないかもしれません。時代の最先端を行くクルマに乗る優越感の代金だと考えるべきでしょう。販売を急ぎすぎる日産のEV戦略には賛同できませんが、クルマは相当に出来が良いです。全長4455mm、全幅1770mm、全高1550mmと立派なサイズですが、全世界で販売するには最低限の大きさです。背が高いボディフォルムはキャビンの広さを連想させます。全体的にボリューム感があるスタイリングをもっていますが、フロントノーズの先端には充電用の口が付いていてEVであることを主張しています。

 軽自動車ベースで仕立てられた三菱i-MiEVとは異なり、リーフはEV専用車として開発したことが大きな特徴です。EVというと重量やコスト、後続距離が課題となるので、どうしても小さなボディで開発したくなります。しかし、日産はあえてその常識に囚われていません。むしろ都市部のユーザーを考えて、デイリーの走行距離などから検討した結果のボディサイズなのでしょう。もちろん、このリーフの後にはルノーが開発した二人乗りのスモールEVも市販化が計画されています。

 電気エネルギーとEVは密接な関係にありますが、これからEVはどうなるのでしょうか? 日産リーフを試乗した翌日に地震が発生したのは偶然だったのでしょうか? いろいろ考えさせられました。

 その試乗で感じたことは、まず内装が驚くほど「質感が高い」ということです。300万円に相応しいレベルに仕上がっています。EVなのでエンジンのスターターはありませんが、起動ボタンを押すと数秒後に走行準備が整ったことが表示されます。万が一、充電器が差し込まれていると安全のために走行はできないようになっているのです。

 インパネで気になるのはアメリカで話題のスポーツEVのテスラや前述のi-MiEVと同じく、残りの走行距離を知らせるメーターがわかりやすいかどうかです。エネルギー密度が低いバッテリーでは航続距離の判断はとても重要なのです。この表示はモード燃費で計算した値と、過去数十分前まで走行していた実際の電力消費率の二つの数字が表示されます。

 基本的には後者が実電費なので短く表示されますが、長い下り坂を走った場合などは、実電費で計算される航続距離は長くなるので、上り坂を走ると大きな計算違いをすることになります。しかし、たとえば昨年試乗したアウディQ5ハイブリッドではカーナビの標高差を計算し、もっと正確な走行可能距離を表示します。カーナビ先進国の日本なのに、こういったことに対応していないのは残念と言えます。

 走行感覚はとても気持ちよいものを持っています。静かで力強い加速はEVプレミアム。他のEVで見られるモーターの回転数が高まったときの高い周波数の音も抑えられています。モーターのトルクは280Nmで、3リッターV6エンジン並のトルクに匹敵します。さらに電流が流れた瞬間に最大トルクを発生するモーターは、エンジンとは異なるトルク特性を持っています。電動パワーステアリングも自然な手応えを示し、乗り心地も快適です。サスペンションのストローク感も悪くありません。つまりリーフ自体はたいへんよく仕上が
ったいいクルマなのです。

 問題は日本のEV戦略です。もともとEV戦略は夜間電力(原子力発電)を無駄なく使いたいという施策の一環として計画されました。しかし、本来はそんな企業の都合ではなく、ユーザーの利便性をもっと考慮したEV戦略を打ち立てるべきなのです。補助金と急速充電器のインフラ整備でEVのユーザーを釣ろうとしても、そう甘くはありません。「もっとじっくりといきましょうよ、日産さん」と言ってあげたいものです。

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【DST#022】アバルト・プント・エボ vs ルノー・メガーヌRS / ABARTH Punto Evo vs RENAULT Megane RS(17分37秒)
http://www.startyourengines.jp/dst/2011/05/022.php

ComingSoon【世界のモーターショー】オート上海2011リポート2 / Auto Shanghai 2011 Part.2(8分31秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/05/002499.php

【世界のモーターショー】オート上海2011リポート1 / Auto Shanghai 2011 Part.1(7分24秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/05/002498.php

韓国製SUVサンヨン・コランド / SSANGYONG Korando(6分40秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/05/002491.php

もはや欧州車の域か? キアK5 / KIA K5(7分14秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/04/002490.php

ヒュンダイの最高傑作、ジェネシスの最新モデルを試す / HYUNDAI Genesis(8分56秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/04/002489.php

EV界の本命か? シティコミューター、スマートEVの実力 / SMART Fortwo Electric Drive (14分38秒)
http://www.startyourengines.jp/video/2011/03/002481.php

ダイナミック・セイフティ・テスト・シーズン2ハイライトシーン / Dynamic Safety Test Season2
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2012年5月25日金曜日

【清水和夫メールマガジン】第9号 アーカイブス 2011.4.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年4月25日 第9号
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大震災でわかった日本の自動車産業の存在感

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 2011年3月11日に発生した地震で多くの方が被災しました。現在も福島原子力発電所では放射能汚染問題が生じるなど、その被害はさらに広がりつつあります。被災した方々にはあらためてお見舞い申し上げます。

 さて、今回の大震災では日本が大きな危機に直面しただけでなく、世界の自動車産業にも想像以上に影響がありました。皮肉にも震災が起きたことで、日本が世界の自動車産業に影響力を持っていたのか明らかになったのです。今回は日本の震災被害がどのように世界の自動車産業に影響するのか考えてみました。

 日本の自動車製造業は、2000年頃から九州と東北に生産拠点を徐々にシフトしていきました。特に最新工場は東北地方に集中しています。たとえば、トヨタ・ヤリス(欧州向けヴィッツ)を生産するセントラル自動車は宮城県黒川郡に新本社工場を移転しました。そして、それに伴い多くの部品メーカーが東北地方に進出しました。

 栃木県は多くの自動車メーカーが存在し、テストコース銀座とも呼ばれています。栃木県は地震の影響が少ないという理由で自動車メーカーや大手部品メーカーが拠点を設置したのです。本田技術研究所も栃木県に拠点を構えるメーカーのひとつです。今回の震災で不幸にも一人の職員が亡くなっただけでなく、設計部門の建物が大きな被害を受けました。他にも多くの自動車産業が今回の震災で被害を受けたのです。

 当初、その被害の程度は誰も想像できないものでした。地震被害の情報が次々と日本メーカーの本社に報告されましたが、それは序章に過ぎませんでした。海外工場の影響が時間差で明らかになったのです。日本の自動車メーカーが国内の工場のライン確保に躍起になっていたところ、アメリカの工場が稼働できなくなると一報を受けたのです。部品メーカーが止まることは国内だけでなく世界中のメーカーの工場も止まることを意味したのです。

 被害は日本の自動車メーカーだけでなくGMボルトの工場ラインも東北地方の部品メーカーから部品が届かないため止まりました。アメリカで調達している部品の一部は日本から供給されていたのです。円高・関税対策のために現地化率100%と言われていましたが、モジュール化するユニットのコアの部分は日本が握っていたのです。

 さらに欧州ではプジョー・シトロエンの工場のラインも止まりました。ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる浮遊粒子を除去するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)のコア部品が東北で生産されていたのです。

 ホンダはブラジルのオートバイ工場が稼働できなくなりました。ホンダの二輪事業の場合、その多くの部品はマザー工場のタイから供給されていましたが、コア部品は日本からタイに送られ、モジュールとして世界の生産拠点に供給されていたのです。たった一つの部品がないだけで、すべてのラインが止まってしまいました。

 考えてみれば当たり前のことです。何万点という部品が一つ欠けても動かなくなる自動車は大型精密部品の集積のような商品なのです。


日本だけの問題ではない

 今回の出来事でわかったのは、海外での100%部品調達による生産といっても、実はコア技術を司る部品はあくまで日本製だということです。いままで自動車産業は自動車メーカーを頂点としたピラミッド構造と言われていましたが、実際の産業構造は三角形ではなく菱形だったのです。自動車メーカーのすぐ下に存在するのが一次サプライヤー、別名Tier1(第一の階層)と呼ばれます。その下にTier2、Tier3となりますが、下に行くほど裾野が広がっているのではなく、次第に専門性を持った数少ない中小企業に行きつく
わけです。

 このように先進国向けのクルマには大小の差こそあれ、日本製の部品が必要だったのです。ですから円高や自動車不況で生きていけないと嘆く中小企業の経営者は、他にできないオンリーワンの技術を持つことがとても重要な企業戦略となるわけです。誰でも作れるモノなら必ず価格競争になります。

 しかし、こうした理屈は部品だけの話ではありません。日本の製造業全体に共通した話です。世界中で開催される自動車ショーには世界中から自動車メディアが取材に訪れ、その数は天文学的数字です。しかし、世界中のメディアが手にしているデジタル一眼レフは、キヤノンとニコンだけと言ってもいいくらいです。

 今回被災した部品メーカーには自動車の電子制御の心臓部分を生産する電子部品も少なくなかったと思いますが、日本は電子制御のハイテクではなく、むしろ機械の精密さで世界をリードしているのではないでしょうか。

 オンリーワンの技術が豊富な日本の自動車産業が復興しないと、世界の自動車メーカーにまで大きな打撃を与えてしまいます。いまや世界の自動車産業はあたかも有機的な神経系統のように世界中に張りめぐらされ、米粒のような部品から数十kgの重さの鋼鉄ブロックまで、世界中で生産・供給しているのです。

チームジャパン復活のために

 思えば日本車は2000年以降、冬の時代を過ごしていました。それは世界進出や台数といった数字の上では日本の自動車産業は急成長したのですが、その一方でモノ作りがおろそかにされた時期だったことを意味します。

 例えばトヨタは世界中に工場を作り、コストと効率を旗印に突進していました。その結果、たしかに世界一の生産台数となりましたが、クルマ作りの本質的な技術革新では遅れをとりました。そして、たまった垢が吹き出たかのように、多くのリコール車を生みだしたのです。国土交通省のデータでも2008年度は5万km以内で発生する不具合件数は全体の40%にものぼり、設計の甘さが指摘されました。「コストと効率」を徹底的に追求した結果、クルマとしての魅力や先進性が失われてしまったのです。

 しかし、その一方で部品メーカーは欧米の自動車メーカーにも供給し、欧米の先進的で魅力的なクルマを支えていました。「日本の部品がなくては自動車は作れない」と欧州メーカーに言わせるほどの影響力を持つようになったのです。

 このことは自動車産業の主役が、完成車メーカーから専門性を持ったサプライヤーに移行したことを物語っています。1980年代までの自動車は「走る・止まる・曲がる」という基本性能で勝負してきました。しかし、90年代には衝突安全が注目されエアバッグやシートベルトなどの拘束装置が普及しました。こうした安全装備が急速に発展したのは、専門性の高いサプライヤーの存在が重要でした。2000年代に入って、予防安全やITS(カーナビ)などの技術やシステムもますます重要度を増してきました。

 そして近年ではハイブリッドやEVなどの電子制御と電気駆動開発が、いっそう専門性の高いサプライヤーの必要性を求めています。最新のハイブリッドカーの中身を見ると、電気エネルギー技術、内燃機関、機械工学、空気力学(流体)、熱力学、音響技術、通信技術など多岐にわたります。

 自動車開発が従来のように完成車メーカー主体という概念ではなく、専門性の高い部品をいかにパッケージするのかというシステム構築技術主体という概念に変化しなければなりません。自動車メーカーはいかに専門性を持ったサプライヤーの力を引き出すのか、ここにチームジャパン復活のカギが隠されているように思います。

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