2012年10月26日金曜日

【清水和夫メールマガジン】第19号 アーカイブス 2011.9.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年9月25日 第19号
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ASEANリポート第二弾

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 前回に引き続きASEAN市場をリポートをしたいと思います。あらためて説明すると、ASEANとは東南アジア諸国連合の略で、現在10カ国が加盟しています。その中でも金融の中心はシンガポールですが、産業的にはタイ、インドネシア、マレーシアの成長が著しいといえます。

 ASEAN地域の人口は2009年は約5.8億人と日本の約4.6倍。国土は約12倍ですが、一つの大陸に存在するわけではなく、幾つかの諸島を含むことため、様々な民族が独自の文化を持っています。欧州の多様性がしばしば話題となりますが、民族的にも宗教的にもASEANのほうが、はるかに多様な文化を持っているため、複雑な背景を持った地域だと感じる人が多いかもしれません。

 さて、ASEAN全体の一人あたりのGDPは、約2500ドルと日本の6.4%にすぎませんが、ASEAN都市部だけのGDPを考えると、4000ドルを超える地域が増えつつあります。過去のモータリゼーション方程式では、一人あたりのGDPが4000ドルを超えると、二輪から四輪に発展するといわれています。そしてその公式どおり、インドネシアの首都ジャカルタでは急速に自動車が普及し始めています。

 人口が多く、経済が発展すれば、当然自動車が売れるわけですが、ASEANの今後の可能性を地政学的に考えると、そのメリットはユーラシア大陸やアフリカ大陸の中間に位置していることが重要と考えられます。しかも中国はともかく、インドとASEANは水面下でFTA(自由貿易非関税協定)に関する包括的な交渉が行われています。もし、FTAが締結されると、ASEANとインド諸国を合わせて、約20億人が住む、巨大な自由主義の経済市場が誕生することになります。

 昨年、ASEANを中心に取材してきましたが、今まさに日本の自動車産業にとって一攫千金のチャンスがやってきたと感じています。一ドル70円台が当たり前の時代に、どう生き残っていくのか。その答えはASEANにあると考えられます。

タイのケース

 昨年、日産自動車は主力車種のマーチをタイで生産し、日本に輸入して販売を始めました。円高対策のように見えますが、ASEANを中心に考えれば、縮小気味の日本で、小型車を作る意味はたしかに見いだせないでしょう。マーチはタイだけでなく、NAFTA(北米自由貿易協定)を利用して、メキシコで生産し、インドや中国でも生産しています。必要とする市場でマーチを作る「地産地消」が、ゴーン社長を決断させたのではないでしょうか。

 マーチに続いて、昨年11月には本格的なアジア戦略車として開発されたホンダの小型車「ブリオ」をタイ・バンコックの自動車ショーで発表したことも重要です。タイといえばASEANの中心で、もっともモータリゼーションが進んでいる国です。11月に自動車ショーを取材するためにバンコックに行くと、朝夕の通勤時間こそ渋滞が酷かったものの、高速道路は整備されつつあり、近代的なモータリゼーションが始まりつつあると感じました。

 タイといえば、GMグループの一員であった時代にスバルが、タイ生産のオペルのミニバン、ザフィーラを「トラヴィック」の名前で輸入販売したことがありました。私の薦めで親戚がこれを購入しましたが、ドアの鍵が壊れた以外は、品質の問題はほとんどありませんでした。ポルシェが設計し、GMのタイ工場でノックダウン生産されたトラヴィックのステアリングを握りながら、タイの自動車産業の成熟ぶりを当時すでに感じていました。

 これまで、低価格車は新興国で現地生産し、ハイブリッドなどの高機能車は日本で生産するというのが日本の経営者の考えでしたが、タイではついにトヨタ・プリウスの生産が計画されています。現在インドで販売されるプリウスは、日本製であるために、関税などがかけられ500万円以上の高級車となってしまっているのです。ASEANとインドがFTAを締結すれば、自動車メーカーのASEANシフトの戦略は一気に進むでしょう。

 次回は実際に新興国で作られる低価格車の実力を検証したいと思います。


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Start Your Enginesから夏のプレゼント / Present from Start Your Engines(2分4秒)
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フェラーリに捧ぐ アバルト695トリブート・フェラーリ/ ABARTH 695 Tribute Ferrari(6分46秒)
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2012年10月10日水曜日

【清水和夫メールマガジン】第18号 アーカイブス 2011.9.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~

2011年9月10日 第18号
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ASEANリポート第一弾

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 中国とインドの巨大な市場に挟まれるASEAN市場は、これからのアジア市場の重要なカギを握っているのではないでしょうか。

 私は昨年1月にインドデリーの自動車ショーを取材し、その後つづけて中国・北京、インドネシア・ジャカルタで行われた自動車ショーに足を運びました。
そして11月にはホンダのブリオが発表されると聞いて、タイのバンコック自動車ショーも取材しました。その経験から感じたことは、日本の1970年代と同じく、自動車の普及が経済成長のシンボルとなっているということです。

 今回から数回にわたり、ASEAN三カ国(タイ・マレーシア・インドネシア)の自動車市場についてレポートするつもりです。二つの大国に挟まれるASEANは地政学的には実に面白い市場ですが、ASEANとて単一市場として存在することは難しく、周辺国との関係あるいは国際社会の中で、どのように位置づけられるのでしょうか。ASEANを取り巻く環境から考えてみましょう。

巨大なアジア経済地域の中のASEAN

 アジアというと一般的には中国をイメージしてしまいますが、地図を広げてみると、ロシアを除いても実に広大な地域に広がっていることに気づきます。総務省のデータによると、この地域の人口推移は2050年にはなんと約90億人と予測しているのです。しかもその多くがアジアで増加することが示されています。

 すでに中国、インド、ASEANの各地域では自動車が爆発的に売れ始め、間違いなく巨大な市場が形成されることが予想されています。もちろん、急速なモータリゼーションは日本が経験してきたように都市の排ガス問題、交通事故問題、渋滞、さらにエネルギーセキュリティという魔の四点セットがつきまとうでしょう。こうした負の問題を抱えながらどのようにモータリゼーションを発展させるのか、明るい話題だけではなさそうです。アジアの一員である日本の役割は、とても大きいと思うのです。

 このメルマガをお読みになっている多くの方は、自動車産業という側面でASEANへの興味を持っていると思いますが、根源的にはアジアの人々がモータリゼーションによって移動の自由が守られ、多くの人の生活が豊かなになるという自動車本来の役割を忘れてはいけません。

 WBCSD(世界自動車会議)では、その国のGDPと国民ひとりひとりの移動距離は比例するというデータを発表しています。その意味ではアメリカが飛び抜けて移動距離が長いのは、土地が広いからだけでなく、広い土地を自由に移動できる航空機の発展があるからでしょう。自動車とともに飛行機がアメリカの富を支えてきたといえます。

 ということで大国中国の本当の成長は、国民ひとりひとりの移動距離がどのくらい伸びるのかにかかっているように言えます。日本の60年代がそうであったように、中国に於ける自動車の発展とモータリゼーションは、新しいライフスタイルを産み出すことは間違ありません。

 しかし21世紀的に考えるならば、環境意識を高めた自動車政策がとても大切となってくるのです。モータリゼーションが過熱するアジアの国々が、どのような環境意識を持っているのか、ここも重要な論点となるでしょう。

中国とインドに挟まれるASEAN

「乾いた砂漠に水を撒くように自動車が売れる」というのは、あるドイツメーカーの関係者の言葉ですが、アメリカメーカーの関係者も「2015年には3500万台市場」と中国の大胆な成長ぶりを予測しています。実際に今年の上海自動車ショーでは「中国の自動車市場がどれほど成長するか」で盛り上がっていました。

 たしかに13億人の中国が先進国なみの自動車普及率を達成すると、とんでもない数字になるかもしれません。しかし、中国で懸念されることは日本と同じ高齢化社会をすでに迎えているということではないでしょうか。

 産児制限を行い、人口増加を抑制してきたつけが、労働力の確保という自動車産業にとって大きな課題として生まれつつあります。自動車の販売台数の巨大な数字に隠れた今後の中国の先行きは、誰も予測できないのではないでしょうか。

 一方で中国と並んで人口の多い国がインドです。こちらは産児制限がないために、2030年には中国の人口を抜き、世界一の大国となると期待されています。しかし経済圏としてのインド諸国であるバングラディッシュやパキスタンを含むと、2005年にはインド諸国の人口は14.5億人(インドだけでは11.3億人)と13.1億人の中国をすでに抜いています。さらに、あと数十年は綺麗な形の人口ピラミッドを維持するので、当分良質な労働力が期待されます。

 しかも中国のように現地メーカーと合弁しなくても、単独で進出できるので、海外メーカーは投資しやすいのも有利です。このような理由から、インドの未来は希望に満ちているといえます。

 インドといえばスズキ自動車が先駆者として大きな存在感を示していますが、最近はトヨタ、ホンダ、日産も現地での生産体制強化を進めており、日本の自動車産業が本気でインドに進出しつつあるといえます。中でもホンダは二輪事業の成功体験から、四輪事業も拡大したいと伊東孝紳社長は積極的です。

 このように大国の中国とインドに期待が集まるなか、両国に挟まれるASEANの自動車産業がこれからどのように成長するのでしょうか。次回はいよいよ本論に入ってきたいと思います。

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Start Your Enginesから夏のプレゼント / Present from Start Your Engines(2分4秒)
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清水和夫のSYEドライビングレッスン ビギナー編1 / SYE Beginner Driving School 1(3分50秒)
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清水和夫のSYEドライビングレッスン ビギナー編4 / SYE Beginner Driving School 4(4分45秒)
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清水和夫のSYEドライビングレッスン ビギナー編6 / SYE Beginner Driving School 6(3分31秒)
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清水和夫のSYEドライビングレッスン ビギナー編7 / SYE Beginner Driving School 7(6分10秒)
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清水和夫のSYEドライビングレッスン ビギナー編8 / SYE Beginner Driving School 8(6分5秒)
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CARトップ 筑波サーキットテスト2011夏 / CARTOP Tsukuba Circuit Test 2011 Summer
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2012年9月25日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第17号 アーカイブス 2011.8.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年8月25日 第17号
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スマートグリッドを絵空事にしない

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 前回に続いて日本のスマートグリッドがどのようにあるべきかについて考えてみたいと思います。

 東日本大震災で被災した東北地方沿岸部の復興会議が始まりました。国と地方自治体でそれぞれ復興会議が別に行われていますが、その会議からも「エコタウン」「スマートグリッド」という言葉がよく聞かれます。まるで流行語のようにマスコミから発信される「スマートグリッド」は原発事故の前も後でも同じように使われていることがとても気になります。そもそも震災前のスマートグリッドは、原発による夜間過剰電力を蓄電する意味があったからです。

 その一環としてオール電化を進めてきた東京電力は、三菱とスバルを巻き込んでEV普及を後押ししました。猛暑はピーク時に電力が不足しやすいので、昨年の夏のように電力の需要と供給バランスがずれると、電力が余ったり足りなくなったりします。そこで考えられたのがスマートグリッドです。自家発電を持つ事業所や中規模住宅などと、個人の自宅やEVが中央集権的な送電システムの中につながるというイメージでしょう。

 一方、震災後は原発事故を受けて、再生可能な自然エネルギーが注目されるようになりました。そのことは大賛成ですが、自然エネルギーの弱点である不安定な発電を補うためにはどうしても蓄電が必要となります。そこでスマートグリッドの出番となります。原発でも自然エネルギーでもスマートグリッドは不可欠なシステムなのですが、蓄電技術が期待したほどの性能向上が見込めませんし、交流と直流が混在するグリッドは変圧変流を繰りかえす必要があります。また蓄電装置もリチウムの場合は温度管理に待機電力を使ってしまい、かえって電力網全体の効率に影響を与えそうです。

 グリッドをつなげることで、家庭で発電する燃料電池・風力・太陽光発電の電力を使わないときは他に回すことができます。たしかに自宅やEVを地産地消発電につなげることはとても魅力的です。しかし、スマートグリッドを社会システムとして構築するには「送電発電分離」の発想が必要となります。これは自動車になぞらえると道路(高速道路含め)と自動車を作る会社が地域ごとに独占企業となることと同じです。つまり道路に合わせたクルマしか作らなくなったり、あるいは反対に国や行政がクルマありきの道路しか作らなくなったら、ユーザーは満足するでしょうか?

 エネルギーも同じで道路に相当する送電(電気を運ぶインフラ)と自動車メーカーに相当する電気を作る発電所は別個の事業体でなくてはならないのです。しかも競争がない世界に技術進化はあり得ませんから、電力のある程度の自由化も必要かもしれません。絵空事のスマートグリッドにならないために送電発電の分離は不可欠ではないといえるのではないでしょうか。

水素は揚水発電と同じく電気のストレージ

 電気は100年前から貯めることが難しいとされてきました。最新のリチウムイオン・バッテリーでも1kgあたりに蓄えられるエネルギーはせいぜい0.2kWh(出展:『高性能二次電池』辰巳国昭、産業技術総合研究所)です。一方、水素は1kgあたりのエネルギーは33kWh(出展:アウディE-mobilitys資料)にすぎません。

 ちなみにガソリンは12kWhなのでリチウムイオンの60倍、水素はなんと165倍の密度を誇っています。したがって電気を貯める蓄電は二次バッテリーだけでなく水素にストレージすることができるのです。過剰な夜間電力を使って、水を高い所に汲みあげ、昼の需要が増える時に発電する揚水発電(Pomped-storage hydroelectricity)と似ているようにも感じます。つまり電気を水素に抱かせるのです。これなら安心して供給が不安定な自然エネルギーで発電し、余ったら電気分解で水素として貯めておく。電気分解から高圧水素のストレージは、すでに欧米では実用化している
技術なのでコストや効率は悪くありません。

 電気と水素ができればEVや水素燃料電池車をこれらのエネルギーグリッドにつなげることは可能です。アウディとドイツのエルドガス社は家庭や事業所から発生するCO2と合成し、メタンCH4を生成するプロセスを提案しています。電気を水素に抱かせるのと同じように水素をメタンに抱かせるのです。親亀(メタン)の背中に子亀(水素)を乗せて、子亀の背中に孫亀(電子、電気)を乗せて、というイメージです。メタン~水素~電気というエネルギーの多様性のグリッドが可能となるのです。

 メタンガスは普通のガソリンエンジンをすこし改良すれば利用できます。しかも経済性はとても高く、1ガロン4ドルを超えたアメリカでもCNG自動車が注目されています。またインドの都市でもCNG自動車が使われているので、新興国のエネルギー事情に合致できるコンセプトです。EVでも水素燃料電池車でも、あるいはCNG自動車もこの多様化のグリッドにつなげることができます。メルセデス・ベンツはバイオから水素を作るのが今のところ効率とコストで有利だと考えており、利用者の立場にたったエネルギーの多様化が進められています。被災地の復興を考えるまさにこの時期、こうした取り組みこそが不可欠ではないでしょうか。

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【DST#番外篇】2010年加速減速トップ10、1位~3位 / 10 best Acceleration and Braking(4分38秒)
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【DST#番外篇】2010年加速減速トップ10、4位~6位 / 10 best Acceleration and Braking(4分47秒)
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【DST#番外篇】2010年加速減速トップ10、7位~10位 / 10 best Acceleration and Braking(6分18秒)
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ホンダEV/PHEV実証実験リポート?@ / HONDA Fit EV Proto-type(3分6秒)
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ホンダEV/PHEV実証実験リポート?A / HONDA PHEV Proto-type(5分31秒)
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ホンダEV/PHEV実証実験リポート?B / HONDA Fit EV Proto-type(3分52秒)
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究極のターボ ポルシェ911ターボS/PORSCHE 911 Turbo S(5分39秒)
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ソフトトップになって帰ってきたゴルフカブリオレ/VOLKSWAGEN Golf Cabriolet(6分8秒)
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東日本大震災 被災地支援リポート第6弾 オペレーションクルマの仲間たち (5分30秒)
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2012年9月11日火曜日

【清水和夫メールマガジン】第16号 アーカイブス 2011.8.10

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スマートグリッドを考える

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 最近よく耳にする言葉に「スマートグリッド」があります。この言葉は震災前からよく聞かれた言葉です。

 持続可能な低炭素社会を実現するために、国家のエネルギー戦略として自給率の向上とCO2削減という二つの課題を掲げてきました。この政策は自民党も民主党も基本的には普遍的です。2008年の洞爺湖サミットで議長を務めた自民党政権時代の福田康夫首相はG8(主要八カ国首脳会議)として2050年CO2半減という壮大な目標をコミットメントしたことは記憶に新しいでしょう。しかし、40年も先のことなので、この数値目標がどのくらい厳しいものなのか、あまり議論されなかったのが真実です。

 そして日本は国民が期待していた政権交代が起こり、新しく民主党党首に鳩山由紀夫首相が就任しました。そして福田首相が公約した2008年のG8の数値目標を意識し、民主党として2020年にCO2マイナス25%を言い出しました。たしかにCO2削減だけを目標とするなら一国の首相がリーダーシップをとって推し進めれば可能な数字かもしれません。しかし、実際には具体的にどの分野のCO2を削減するのか、すでに省エネが進んでいた日本の産業界にとって、とても厳しい政策に思えました。

 さあ、その削減すべきエネルギーはどこから集めて解決するのでしょうか?原子力発電の夜間に余る電力を利用するためのオール電化とともに電気自動車は促進されてきました。CO2削減のために「スマートグリッド」と叫ばれてきましたが、これはEV(電気自動車)が普及すると、自宅で充電できるようになり、自宅と自動車がグリッドでつながることを前提としています。つまり、いざという時にはEVから電力を家庭に供給できることを意味しています。でもこれだけでは全然スマート(知的)ではありません。スマートグリッドの本質はどこにあるのでしょうか。

 最近人気がない東京モーターショーですが、今年はついに千葉の幕張から東京のお台場ビッグサイトに開催場所が変わるそうです。しかも開催日は年の瀬の12月初旬といいます。はたして多くの人が興味をもってもらえるでしょうか。今年の東京モーターショーがどんなコンセプトで開催するのかというと、自動車工業会は「SMART MOBILITY CITY 2011」というテーマを掲げているが、その意味は新しい時代におけるクルマの役割を考えることが狙いといわれます。「社会とクルマ」「エネルギーとクルマ」「都市とクルマ」の関係を見直すというテーマです。しかし専門家の多くは「スマートシティ=EV+ITS」と単純に考えやすいのです。EVもITSも手段にすぎないのですが、どんなモーターショーになるのか私は少し心配しています。

 というのは東日本大震災以降、多くの人の意識が変わったからです。社会も政治もライフスタイルも大きく変わりました。この変化に気がつかないとしたらとんでもない鈍感といえます。国難といわれるほどの大災害を受け、日本は自動車産業もエネルギー産業も危機的なピンチが襲い、大変革の時期に来ています。したがって、3月11日の前に考えていたテーマはすべて一から見直す必要があると思うのです。

 いま、震災で被災した日本の自動車産業だからこそ、世界に言えること、いや言うべきことが沢山あるはずです。その危機感から生まれた「SMART MOBILITY CITY 2011」なら問題ありませんが、私達の暮らしやライフスタイルがどのように変わるのか、それをわかりやすく示すことが自動車工業会のプロデューサーに求められているのです。絵空事のような言葉の戯れにならなければよいのですが。

 次回は私が考えるスマートグリッドのあり方について書きたいと思います。

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【DST#番外篇】2010年加速減速トップ10、7位~10位 / 10 best Acceleration and Braking(6分18秒)
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自然エネルギーの宝庫 ノルウェーから ?@ / MITSUBISHI i-MiEV (6分57秒)
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自然エネルギーの宝庫 ノルウェーから ?A / MITSUBISHI i-MiEV (3分38秒)
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自然エネルギーの宝庫 ノルウェーから ?B / MITSUBISHI i-MiEV (4分31秒)
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EV天国ノルウェーでi-MiEVオーナーに聞く?@-5 / MITSUBISHI i-MiEV interview (3分31秒)
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EV天国ノルウェーでi-MiEVオーナーに聞く?A-5 / MITSUBISHI i-MiEV interview (3分10秒)
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EV天国ノルウェーでi-MiEVオーナーに聞く?C-5 / MITSUBISHI i-MiEV interview (3分10秒)
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EV天国ノルウェーでi-MiEVオーナーに聞く?D-5 / MITSUBISHI i-MiEV interview (3分10秒)
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ソフトトップになって帰ってきたゴルフカブリオレ/VOLKSWAGEN Golf Cabriolet(6分8秒)
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BMWの怪力ハイブリッド/BMW Active Hybrid X6(7分9秒)
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ノルウェーのフィヨルドを走る -前編- / MITSUBISHI ASX Diesel (5分48秒)
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ノルウェーのフィヨルドを走る -後編- アトランティックロード / MITSUBISHI ASX Diesel (5分42秒)
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2012年8月25日土曜日

R32GTRのチーフエンジニア伊藤さんとのインタビュー

第一章 私と箱スカの出会い


伊藤:清水さんとスカイラインの出会いを聞かせてください。

清水:最初に免許とって乗ったのが箱スカのGC10。18歳の時でしたね。だから自分の中ではスカイラインは特別な想いがあったのです。スカイラインがなければいまこの仕事をしていなかったしね。世田谷の上馬にプリンスディーラー、渋谷の神泉に東京カローラでセリカを売っていた。スカイランかセリカか迷った。当時の価格はどちらを選んでも86万円前後。セリカは女の子をナンパしやすそうなので、オレはセリカが欲しかった。でも、オヤジの「日産のほうが技術は上じゃないの」の一言でプリンスの箱スカに決まった。2リットルのストロンバーグのシングルキャブ。それ買って大学行ったらクルマ好きが集まってきて大変な騒ぎだった。それがきっかけでラリーとかレースにぞっこんハマッタのです。それからガンガンと自動車人生を歩むことになりました。

伊藤:スカイラインが人生を決めたのすでね(笑

清水:はい、その通りです。その後のスカイラインは昭和50年規制でしょぼくなって、4~5代目から記憶が薄らいだのです。ジャーナリストになったときに再び箱スカと再会しました。でも都市工学とか訳の分からない宣伝文句をひっさげてましたから、ますます意味不明なスカイラインでしたね。日本ではクルマのイメージは言葉遊びが好きな広告代理店が作るのだと初めて知ったのです。技術屋さん達はあまり歴史など感心がないみたいでした。ですから、7thスカイラインと出会っても「これがスカイライン?」って失望したのです。

伊藤:なるほど

清水:しかし、希望の光も見えました。ハイキャスという四輪操舵技術が世界発で実用化したのです。日産の中央研究所の芝畑さんが開発した技術でしたね。リアのトーが油圧でアクティブに動くヤツ。当時、ポルシェのタイヤテストで928を走らせていたので、ポルシェのバイザッハアクスルはよく知っていました。日産はそれを油圧で動かしたのです。7thスカイラインで日産のシャシー技術の底時からを知りました。それからついに8代目のR32スカイラインが誕生したのです。R32GTRも復活し、日産が本当に世界一になると思いました。それでレースに復活GTRは650ps+4駆というスーパースポーツカーに思えたのです。4駆スポーツカーといえばポルシェのグループBの959しかなかったのに。


第二章 世界に誇れるクルマを作りたい


伊藤:R32を始めたのが1985年からですね。日本の自動車の歴史を見ると、最初は欧州車のOEMを作り、そこから自主開発しました。60年代から70年代にかけては排ガス問題、80年代からは安全対策。世界中の規格に対応しながら、世界を相手にクルマを作ってました。

清水:円高もありましたね。日本車がアメリカで売れるとアメリカはすぐ叩きました。その結果アメリカへの輸出規制です。実際は自主規制という縛りでしたが。
 
伊藤:ところが、欧州の日産の販売現場ではベンツビーエムと対等に戦えるクルマが欲しいと。でも、バカ言えと思いました。できるわけないと。それより安くて直接競合しないところをやったほうがいい。こうした事情は日産だけじゃなくてトヨタもホンダも同じだったのです。そこで日産の技術屋は世界のトップクラスを見返してやるという気運が高まりました。

清水:創生期、黎明期が60年代70年代ですからね。その後は日本車が売れた。安くて燃費がいい(円安)からでしたね。しかし、80年代は技術競争の時代となり、馬力史上主義となりました。日本車でどのクルマが200Km/hの壁を越えるのか。そのスピード競争を確かめるために、速度無制限のアウトバーンに行きましたよ。ホンダのCRXとか日産Zとかで。

伊藤:その頃、私は量から質への転換を感じていたのです。輸出ばっかでやっていてもしょうがない。急速な円高で会社もおかしくなっていたのです。日産だけじゃなくて輸出できないわけですからね。量産設備をもっていても、輸出できないわけだから、国内の市場をなんとかしないと。そこには付加価値の高いモノ。そういう気運がありました。トヨタはセルシオ、ホンダはNSX。

清水:日産の70年代頃はトヨタとシェアも拮抗していたけど、1976年頃からシェアが30%を割って、それからずーっと下がりっぱなし。一回上向いたかな。

伊藤:あの頃の85年頃のニッサンには何とかしないと。久米社長に代わり、日産の風土改革をやりました。お客さんに満足してもらうような商品を出さないとと。そのためにはクルマの開発方法と自分たちの会社を変えようと。そういう活動を結構やった。そういうのも32をやるときに、みんな燃えていた理由ですね。

清水:それじゃ901活動というのは85年頃に?もう一度技術で世界一を?

伊藤:実際には901委員会は86年の暮れでした。発端はシャシー設計からでした。シャシーも1970年代にヨーロッパにクルマを出してけちょんけちょん。アウトバーンの直進安定性とか。シャシー設計も高速安定性をなんとかしないと。1978年くらいに高速コンセプト委員会というのがシャシー設計部にできました。だからアウトバーンで250キロで走れる車を研究した。シャシーはやった。実際に会社として、パワーを出して新しいサスを開発しようとか、結びつかなくて、結局は研究で終わり、市販車としてはセミトレサスペンションを少しずつ改良してました。他社の進歩のレベルに比べると日産は遅いから、ジャーナリストからもけっこう叩かれたのです。

清水:あの頃、トヨタがロータスの株を買って、セリカXXのシャシーを研究していましたね。つまりトヨタはシャシーで悩んだときに欧州に答えを求めた。日産は?

伊藤:実はちょっとやったんですよ。

清水:どこと?ポルシェですか?
伊藤:そうです。シャシー部門がね。でもあんまり突っ込んでやらなかった。
清水:やっぱ日産のエンジニアはプライド高いから、最後は自分でやりたかったと。バイザッハアクスルを研究したのですね。ところで1986年に901活動が始まりましたがR32の企画が先だったのですか。
伊藤:32の企画が先です。85年の8月にR31を出して、みなさんにこてんこてんにやられて。でま、私も考えて。それで、R32のコンセプトを決め、901活動をスカイラインやろうと展開したのは86年の2月でした。


第三章 マークⅡ三兄弟との激闘


清水:伊藤さんは、スカイラインは欧州に出さないけど欧州車と戦えるようにと考えたのですか
伊藤:はい、欧州のスポーツカーに対抗できるように。
清水:BMWをイメージしたのですか?
伊藤:BMWとかベンツとか、コレというのはなかったのですが、最終的にはポルシェ944(ターボ)をベンチマークとしました。
清水:901活動が実際に86年に発足すると、開発エンジニアだけでなく評価ドライバーたちも、崇高なプロジェクトに巻き込まれていくわけですね。
伊藤:スカイラインの開発を前提にして第一回901活動は87年の3月に栃木のテストコースで行いました。シャシーベッドを使って前後のサスペンションを組み合わせて実車走行しました。
加藤:(日産が誇る評価ドライバー)私は901委員会という意識はなかったですね。伊藤さんの記憶スゴイ。901活動とはR32スカイラインが発表になってから会社が言い出したと記憶しています。
清水:加藤さんは人間国宝だから、901活動の崇高な評価は日常業務でやっている(笑)
伊藤:シャシーが最初に言い出しましたね、90年に世界一を目指すと。その活動の横展開は国内はスカイン、欧州がプリメーラ、アメリカがZ。(R32,Z32、P10)
加藤:そこで車両運動設計グループと新しい呼び方に変わりましたが、やっていることはかわっていない。
清水:加藤さんはやっていることは変わらないと仰いましたが、従来の開発と901を意識したR32スカイラインの開発はどの程度の違いがあったのですか?
伊藤:そりゃ違う。R31を復調するのにタイヘンだったのです。新RBエンジン、新しい4バルブも評判はよくなかった。ツインカムの4バルブはほかにもあったけれどマークⅡがダントツでした。性能的にはスカイラインはちょっとだけヨカッタのですが。昭和52年くらいまでは、日産のほうがローレルとかスカイラン、Lクラス、などシェアがトヨタよりも高かったのです。その後、トヨタがマークⅡファミリーにチェイサーが追加、そしてクレスタ。トヨタの高級路線がうまく行って、日産とトヨタとの差が縮まっていく。そこで昭和52年くらいにシェアは同じになった。
清水:記憶に残っていますね。マークⅡ三兄弟で一月に三万台以上も売っていましたから。
伊藤:それでもスカイラインとマークⅡは単独では1980年代初めまではスカイラインのほうが多く売れていました。マークⅡ連合軍では1981年くらいから逆転されましたが。
清水:そんなことがあったから、R31を企画するときに走りのスカイランではダメだと思ったのですね。あんちゃんが作業服を着て、隣に仲間を乗せて、よーいどんで交差点グランプリ。それに比べてソアラは背広を着て、洒落た香水つけて、おにいちゃんがカワイコチャンといちゃつくクルマ。80年代ってカオスだったのかしら。
伊藤:スカイランは信号が青になったらぶっ飛ぶというイメージが強く、スカイラインのイメージが悪くなったと言われていました。そのイメージをR31は取り返すために大人っぽい領域に足を踏み込んだのです。清水さんが理解できなかった都市工学ですね。だから走りのイメージをなくし、アバンギャルドな大人のイメージを作りたかった。ですから2ドアも出さなかったのです。でも、結果は失敗し叩かれた。
清水:叩いた記憶があるな(笑)
伊藤:だから僕はスカイラインをもう一回原点に戻って開発しようと心に決めました。それは求められる性能や機能はいっぱいあって、モノを運ぶとかね。でも、スカイランとは何?と歴史をひもといて、評判がよかったときも悪かったときもある。しかし普遍的なことは走る歓びだろうと。
欧州車は室内が広くて豪華で喜ばれた例はあまりない。スカイラインに期待されるモノを書き出し、何を優先するのか議論しました。走りとスタイル。でも、全部はできない、お金もかかるしね。優先事項は絶対にやると決めました。
清水:なるほど。ほかのクルマにないようなヤツが必要なのですね。7thのCDプレイヤー6連装を自慢していましたが「何だこりゃ」と思いました。そんなことやるくらいなら走りをよくしろとね。スカイラインに期待しないモノをいくらやっても喜ばないですから。

伊藤:期待される的を外しちゃいけないと肝に銘じました。ターゲットを絞ったクルマにしよう。スカイライン=走り。軽量でコンパクト、強力なエンジンに立派な足回り。荷物を積むとかキャビンが広いとかはクルマとし大切ですが、スカイランとしてどっちの優先は何か。それまでの日産は新車を開発するときに前のクルマよりマイナスになることはやらなかった。提案しても通らなかった。
清水:結局頭で考えるかた、ワケのわからないクルマだらけになったのですね。ところで開発主管がやりたくても通らないというのは、主管以上に、権力を持った人がいるのですか?
伊藤:そりゃいろいろと、、、営業サイドとか、売れなかったらオレが責任持てないから協力できないとか。大会社だから、プロジェクトの主管がこれをやりたいと思っても、プラモデルならできるけど。
清水:そのクルマでメシを食っている人がたくさんいる。日産の人、ディーラーの人、部品メーカーの人。
伊藤:だから失敗すると、ホントにミジメ。悪かったヤツをマイチェンで直そうとしても手遅れ。ぼくは何回もやって、マイナーだけ担当したこともあるけれど、失敗したヤツをマイチェンで直そうとしても直らない。イクラ手を打っても回復できない。だから最初から、失敗しちゃイカンと。スゴイ緊張感があるけれど社内の合意を得ないといけない。それでみんながよしこれでやろうという気になってくれれば、いいクルマは作れないのです。
清水:そこに901活動があった。
伊藤:世界一をやろうと。


第四章 イメージアップのための技術の挑戦


伊藤:R32の企画を提案したのは86年の2月ですが、会社として合意したのが86年の7月。経営会議のトップで決まりました。
清水:大きな会社なので提案から決定まで半年もかかるのですね。当時、ポティアックフィエロ(スポーツカー)の取材でGM本社を訪れましたが、GM広報は自分のレターが会長のデスクに届くまでに何週間もかかると苦笑していました。
伊藤:そこで次期型スカイラインはこうやって作って、スペックはこう、原価はこう、収益はこれくらい、販売はこれくらいを目標にと提案しました。経営会議で最終的に承認されますが、そこにいたる過程が大変なのです。多くの社内部署の合意を得ないといけません。その前にもっと大切なことはプロジェクトチームの合意を得ないと。
清水:でもみんなの意見を聞いたらまとまらない(笑)。
伊藤:はい。ですから僕がたたき台を出して、こういうスカイライン作るから「この指止まれ!」という作戦でした。そんなコンセプトはダメっていう人もいます。ボクは直さないといけないのは直して、直さなくていいのは直さない。殺し文句として社内で言ったのは「クルマはいっぱいある。しかし、どれ買っていいか困っちゃうでしょ。オレはこういうのが欲しいんだからこのクルマを選ぶってってパッと言えない。ですから存在価値のあるクルマを作らないといけない」と思いました。
清水:人間もおなじですね。アイツは勉強もそこそこできるし人付き合い下手ではない。だけどパッとしないのがいますよね。特徴がないヤツ。あいつは勉強がダメだけどサッカーやらせたら世界一とか。数学が得意、国語は苦手だとか。あいつは勉強だめだけど女の子にはもてるとか。
伊藤:そうなのです。野球の王さんにはホームランを期待している。いくら3割打っても、盗塁してもホームラン打てなかったら存在価値がない。スカイラインは走ってナンボだから、走らないスカイラインは存在価値がない。ある役員からはこんなターゲットを絞ったコンセプトでは年寄りは寄りつかないぞと脅かされました(笑)
清水:ところでR32はヒットしたのですか?
伊藤:結構売れましたね。マイチェン後にバブルが弾けてセダン全体が落ち込みましたがそこまではヨカッタ。スカイラインの販売も、ジャパンのときが絶頂で、モデル毎に10万台ずつ落ちたのです。累計ではジャパンが53万台、R30が40万、R31が30万台を切りましたが、R32は31万ちょっと。販売が低迷していた歯止めになりました。
清水:いちいち説明しなくてもわかるような存在価値がカギだったわけですね。
伊藤:86年の暮れに若手ジャーナリストを集めて意見を聞いたことがありました。スカイラインに何を期待しますかと。みなさんからの意見を元にして、自分が考えるスカラインがホントに正しいのか。
清水:色々な人に、ですか?
伊藤:スカイラインが大嫌いな人達から女性の意見、また、高校生やクルマ好きのおじさん。のべ600人くらいに聞きました。
清水:そこでスカイラインに対して何を望むのか、ですね。
伊藤:こういうスカイラインはどうかとR32の考えをちらちらと出しながら聞きました。その結果は、自分が考えた方向で間違いないと確信したのです。
清水:ところであのGTRはいつごろ提案したのですか?
伊藤:86年の経営会議で提案する前に、開発担当役員にGTR構想を打ち明けたのです。技術の日産のイメージを高める象徴が必要だと。


第五章 四輪操舵+四輪駆動

清水:GTRの話しが出てくると「それはプリンスの車」だという社内の差別はなかったのですか
伊藤:ぼくはプリンスの人間だからひがみもあるけれど完全にゼロだったわけではないですね。
清水:当時のトップは園田副社長?
伊藤:そうです。園田さんは話しを聞いてくれました。GTRはここで出さないといけない。技術の日産のイメージを強烈に打ち出さないと。

清水:かつての連勝記録をもう一度、グループAで実行しようと。
伊藤:レースで高性能や日産の技術をPRしましょうと。そのときにGTRを提案するんだけれど、R32に高性能エンジンを積んで走る。レースでは四駆を積むつもりはなかったのです。
清水:650馬力でFRですか。フォードのコスワースと同じ(自分も乗っていた)。
伊藤:なぜかというと、個人的には四駆はイメージになかった。なぜかというと、重くなる、値段が高くなる。またレースで四駆が勝った実績があまりない。故障する場所が多くなるし。
清水:それだけネガティブな要素をリストアップしたが、かなり腰がひける。採用しない十分な理由でしたね。では電子制御ETSを伊藤さんに売り込んだのは誰だったのですか?
伊藤:中央研究所(総合研究所)だけど、その前のモデル(GTSR)でもグループAのレースをやっていいというお墨付きをもらってあるので、せっかくだから勉強も兼ねて四駆を急遽作ったのです。だから役員会にも承認受けないでね。GTSRのレース用を設計してくれと頼んだらシャシーとかエンジンとかから断られました。「そんなヒマなんてない、なぜ会社が苦しい時期にレースをやるのか。レースはR32でやるんだから32でいいじゃないかと」というんで困っちゃいました。
清水:ぼくはフォードコスワースでグループAに乗っていて、亜久里(鈴木)がGTSRに乗っていましたね。四駆にしようというきっかけは?
伊藤:結局、四駆にしたのは、GTSRでシエラに対抗しようとすると、パワーを上げる。パワーを上げていくと、アクセルを踏めなくなる。じゃあどうしようかで。タイヤはこれ以上、レギュレーションで大きくできない。じゃあ四駆しかないかなぁという三段論法で四駆に行きつきました。
清水:レースで勝つために四駆になったのか?
伊藤:まあそうですね。

清水:市販車だけならFRになっていた?
伊藤:いやね、どうなのですかね?ぼくの考えは違うかもしれないけど、レースは二駆、市販車は四駆でいいかもしれないと考えていましたから。
清水:一般の人が乗るGTカーは安全性や全天候を考慮して四駆。それでポルシェ959を買って評価していたのですね。
伊藤:迷っていました。一方で、レースはサーキットは四駆じゃないといけない。これ以上馬力あげるのは難しいという意見もありました。
清水:栃木にぼくも連れて行かれて、スキッドパッドでプロトタイプをテストドライブしました。
伊藤:実は市販車の研究開発の段階ではR31で四駆をやるはずだった。ファーガソンタイプのメカニカル四駆です。マイナーチェンジでやることを進めていた。
清水:センターデフをオイルパンの中に入れる、ベンツの4マチックと同じやつ?FRベースで!

伊藤:そうです。四駆はすぐできた。
清水:それでR32ではセンターデフを油圧電子制御にしたのですね。
伊藤:そうです。ところが、R31を出してみなさんに叩かれて、スカイラインの四駆はこれでいいのかと見直したのです。それでスカイラインとしては電子制御がふさわしいと思いました。
伊藤:メカタイプは基盤技術の開発でしたね。
清水:電子制御四駆と四輪操舵のハイキャス、しかもマルチリンクサスペンションといよいよウェポンが揃い始めていたのですね。
伊藤:そうです。


第六章 新しいサスを開発


伊藤:それはR32の企画をするときに、絶対にサスは変えると決めていました。スカイラインの前はFF車を担当していましたが、CG(カーグラフィック)の小林さんから「ところで最近の日産は技術で遅れてきたんじゃないですか?」と言われたのです。当時は7thスカラインはフロントがストラットタイプで、リアはセミトレでした。
清水:トヨタとかホンダが新しいサスを開発しているけど、日産はいまだにストラットのセミトレで進化していない。
伊藤:清水さんにも言われましたね。走りはスカイラインで頑張っているよと。
清水:7thは頑張っていないですけど(笑)
伊藤:それがアタマにあったのです。ストラット+セミトレは70年台にでた3代目スカイラインのGC10から使っていました。
清水:他社も新しいサスをやっていたしね。
伊藤:僕もシャシー屋だから興味があったのです。だからサスは全部やる。四輪ダブルウィッシュボーンで。最初はマルチリンクじゃなかったですけど、途中からマルチリンクになりました。
清水:中央研究所で先行開発していましたね。
伊藤:リアのマルチリンクですね。実際に実用化したのはR32の前のローレルからでした。
清水:200Km/hの世界を考えると、セミトレはいろいろ問題があったのですね。
伊藤:とにかくリアのスタビリティを確保することを重視していました。たまたまベンツのリヤサスペンションにE型マルチリンクが採用されました。日産もコレだ!と思ってやったのです。リアはマルチリンク、フロントも同じようにマルチリンクにすると私が決めたのです。
清水:前も後のサスも新しくする。時間も3年しかない。その間に煮詰めると決心しましたのですね。失敗をおそれずに挑戦したわけですか。
伊藤:ぼくもいろんなクルマやらせてもらいましたけれど、途中からのリリーフが多かった。R32で先発完投は初めて。最初の企画から最後まで責任持ってあたりました。
加藤:(評価ドライバー)伊藤さんが主管というのは安心感がありましたが、設計のエンジニアからはかなりおっかない方だったと思います。と言っていました。
清水:R32開発のときには伊藤さんは加藤さんにどういう指示をだしたのですか?
加藤:「オレはわかんないからお前の好きなようにしろと」。そう言われたらヤルしかないですよね。一番クルマに乗らない主管だったかもしれません(笑)
伊藤:アンタがいないときに乗っていたんだよ(笑)
加藤:私の前では絶対に乗らなかったですね(笑)
伊藤:日産はクルマの開発では組織の壁が強いのです。いわゆる部署間の壁というヤツですね。「あんたにそんなこと言われる筋合いはない」とか「ウチの部署の方針はこうだ」とか。実務的には実験部の中にでもドライバーがテストをし、それをエンジニアが聞いてから、私に報告する。
清水:ドライバーのとなりにチーママがいるのですね。
伊藤:ややこしいですね。伝言ゲームみたいに途中で意見が変わったり、ドライバーの意見がそのまま通らなかったり、ドライバーが何か言ってもエンジニアがオレの計算と違うと。
清水:設計エンジニアの色に染まるわけですね。
伊藤:そこで、栃木でエンジニアを集めて言ったのは、ドライバーの声は神の声だと思って聞けと。
清水:さすがです。
伊藤:エンジニアが自分の独断みたいなことでヘンなことでオレに報告するなと。必死にテストしているのは結局ドライバーですから。それまでははっきり言ってドライバーの発言力が弱かったのです。
加藤:というか厚木(設計部門)に呼ばれることがあまりなかったですね。厚木に行く機会が増えたのはR32からです。
清水:直接設計部門と何を話すようになったのですか?
加藤:評点は10段階なのでわかるでしょう。でも、コメントになってくるとエンジニアが通訳しないとわからない。ケツが流れたとか、リアの追従性が悪いとか、まあわかったような、分からないような言葉の伝言ゲームとなってしまいます。それが積み重なってくると、いつの間にか何がどうなっているのか、分からなくなりますね。伊藤さんはそれをキラってドラバーの話しを直接聞け!と設計部門に仰ってくれたのです。
伊藤:エンジニアに直せっていっても、直さないのです。なんやかんやと理屈を言って。
清水:当時の日産のエンジニアは理屈をこねる人が多かった記憶があります。
伊藤:結構いますね。そのエンジニアを怒っていたのです。相手の意見をチャント聞いておかないとね。


第七章 設計部門と評価部門が手を組んだ


伊藤:プリンスのときはホンネで議論していました。論争するときには職位の関係はなかったのです。部長だろうが課長だろうが新入社員だろうが。それは、中島飛行機の時代の精神が残っていたのですね。戦闘機はホントにいいものを採用しないと国が滅びるのですから。
清水:富士重工もそうですね。生きるか死ぬか、堕ちるか落とすか。
伊藤:そう言う風に叩き込まれていたからプリンスの血を受け継ぐ村山では技能員みたいな身分はなかった。日産でびっくりしたのは身分差があったのです。シャシー設計なのに課長と直接話をしたことありませんなんて。
清水:ホントにいいものとは何かってことでしょう。
伊藤:そう。それは本音でやる。社内の試乗会は嫌いなのだけどね。ぼくはいいけど、重役試乗会で「何々重役がこうおっしゃったとか」。僕はそんなの放っておけと言いましたよ。ドライバーが一番だと。そういう仕事をやらないと、R32みたいのはできない。
清水:なんでエンジニアをそういう風に教育しちゃうんでしょうかね。
伊藤:だから日産も1985年に久米さんが社長になって、社内を変えようといったときに、「~さん」と呼ぶことにしました。部長とか課長と呼ぶのをやめて。ぼくはもともとプリンス出身だったので、課長部長なんて言ったことない。だからやめましょうと。それくらいフラットな組織にして本音でやらないといけないと思いました。
清水:そこがポイントかもしれないですね。
伊藤:たとえばデザイナーもプライドが高いから、自分がやったデザインに文句を言われると素人が何言うのかって。だけどエンジン屋だって、実験屋だって、お客さんなのだから口を出していい。「自分がそう思ったら意見を言え」とみんなに言わせたのです。他の仕事に対して口だししろとね。エンジンなんて、こんなヘボイエンジンから、せっかく良い足を作ってもダメだとかね。こんなにエンジンが良くてもシャシーがコレじゃダメだとか。他人のところに土足で入って言い合いしました。
清水:いままではそんなことなかったですよね。やっぱり真剣に開発していたのですね。
加藤:やりたいようにやらせてもらったと思います。評価要素をたくさん描かされたという思い出はありますね。ポルシェ959、アウディスポーツクワトロ・グループB、10数年前に1000万円以上のクルマだらけ。あとはプジョー205ターボ16、ポルシェ944ターボは数知れず、ベンツは190の2.3リッター16。後はなにがあったかな?なんでも載せてもらったのです。ポルシェ911もあったしね。R32の開発にあたって、なんでも買ってくれた。959とかクワトロ、プジョーに乗れとね。「こいつら何を考えているのだろうか」と思ったことは覚えています。ポルシェ924、944,ドリフトやれと言われて、他の連中はみんなできない。こんなにやりやすいクルマないだろうって言ったら、お前見どころあるからきて運転しろとね。みんなはスピンする。オレはこんなにやりやすいクルマはないと思いました。結果は、バカ者扱いされてチームに呼ばれたのです。
清水:サスが全部変わってしかも四駆システムを装備して。
加藤:「これはタイヘンだなと」と。伊藤さんはオンロード四駆というイメージは持ってなかったですからね。生活四駆のちょっとスポーツ版くらいかな。それにしてもタイヘンだと。このクルマがGTRだなんて発表会まで知らなかった。写真なかったので、自分はGTXの開発担当者だと思っていました。
清水:GTRって知らされてなかったの?
加藤:はい。R32のハンドルって結構印象的なカタチで真ん中にGTRって描いてあるでしょ。オレが乗っていたテストカーはGTXって描いてあったのです。GTのトップモデルだけどGTRじゃないよとね。
清水:でもね、伊藤さん、なんで隠していたの?
伊藤:GTRっていうと、みんな興奮しちゃうから。いろんな情報も漏れたりするから最初からGTRは使わないつもりでした。
清水:GTXの「X」で「R」を隠したのですね。スバルのインプレッサと同じだ。WRXの「X」でWRCを隠したそうです。頭隠して尻隠さずw。
加藤:エンブレムまで作っちゃうんだもん。

伊藤:まずは見方から騙さないとね。GTRのエンブレムを実物で見せたのは、発表の何ヶ月か前に、ディーラーの店主とか社長とかに見せる場でした。ディーラーを呼んで説明会を開きましたが、車種のところはGTX。クルマだけGTRのバッチが付いている。
加藤:もう時効なので、現物お見せしようと思ったのですけれど、出てこないんですよ。記念


第八章 電子制御四駆


清水:四駆のスポーツカーの操縦性に苦労していましたね、最後まで曲がらなかった?
加藤:はぁ
伊藤:時間がなかったですね。四駆に決めたのが1987年ですから。四駆でやろうと思ったのですが、ミッションの設計部隊ができませんって言った。量産は初めてだしね。
清水:相当困りましたね
伊藤:とにかく耐久性が問題というなら、まずそれを確認しようとなりました。一応四駆で話を進めるけど、もしダメだという結果がでたら元に戻す。だからやれと「ゴー」をかけたのです。
清水:凄いチャンレンジですね
伊藤:死にものぐるいでした。そのときに同じような機構を持つ電子制御の多板クラッチがポルシェ959でパリダカとルマンに出場したのです。ポルシェも多板クラッチの耐久性で苦労しているというのは知っていた。こっちはもしダメならビスカスを使おうと思いました。そのためにスペースを25㎜くらい確保していました。
清水:センターデフに?
伊藤:そうです。だから市販車にもスペースが空いている。
加藤:関係者しかしらない秘密。
清水:保険かけた。
加藤:要はビスカスが隆盛を極めていた時代で、その時代と逆行するように、電気と油圧を使い重たいも乗せて、一体何のメリットがあるんだという人が社内にもいたのです。
清水:敵ですね。タイヤだバネだショックだというアナログのシャシー性能から一気にデジタルの世界に突入していったのですがセットアップはどうやって成し遂げたのですか。
加藤:全部自分でやるしかない。相談相手がいないしね。自分を信じるしかなかった。
清水:電子制御の操舵と駆動。ぐちゃぐちゃになりそうですね。
加藤:自分は最初からグチャグチャですから(笑)。エンジニアみたいに時間をかけてマトリクスを埋めていくのだったらいいのですが。
清水:勘でやっていたの?
加藤:そうですよ、時間もないし。そこは自分しか信じるものがなかった。伊藤さんも必死でしたからね。
清水:加藤さんが最後に悩んだところはどこなんですか?
加藤:リヤがステアして動いたのがわかる人がいると言われました。「オレにもわからないのにシロートがわかるかのかよ」って腹では思ったのですが、これを言われたらオレの負けだなって。自分も電子制御が効いている感じがわかるのは大嫌いですから。
清水:7thスカイラインのハイキャスは明らかにわかったよ。
加藤:アレはおれがやってませんから(笑)
清水:それをわからせないように自然なコーナリングを目指した?
加藤:そうです。ところが時間がなくて、カウンターあてる領域は見ていなかったのです。そしたら、試乗会のときに清水さんがドリフトして走っていてカウンターあてるとお茶目な動きするぞって言われました。
清水:雑誌NAVIに書きましたね。「死に馬に蹴っ飛ばされ感じだ」と。
加藤:参りましたね。
清水:先輩もいない、手本もない、論文もない、まったく新しい領域の技術だったので孤独でしたね。
加藤:はい。四駆のABSも初めて。忘れもしない、村山のバンクに入るときに、入り口で探るじゃないですかブレーキを。そしたら、そのままバンクを登っちゃったのですよ。ABSがバカになっちゃって。それを言ってもエンジニアが信じない。彼らのアタマの中にそんなことはあり得ないわけです。つまり全開のまま左足でブレーキを踏むと言うロジックがないわけですよ。それが四駆なわけで、余計にアタマがこんがらがる。「だったらおまえがヤレ」ってなりました。
清水:そこまでチャレンジした当時のモチベーションは?負けたくないという気持ちですか。
伊藤:そうですねゴールまでは責任を果たさないといけないという責任感です。
清水:ゴールとは欧州車と肩を並べるということですね。
伊藤:いや、抜くということ。だって90年に世界一って言ってしまったからはね。


第九章 ユニークなコストダウン


伊藤:いちいち説明しなくても、観る人、乗る人が感じてくれるものを作りたかった。だから、やりすぎるくらいやった。
清水:どのあたりが大変だったのですか?
伊藤:車重をR31に比べて140Kgに軽くしろと設計部門に言いました。
清水:当時の軽量化技術では140Kgはタイヘンですけどね。
伊藤:重量にしろ、減価にしろエンジンは何キロ、シャシーは何キロと分担させました。実は140Kgはえいやで決めた数字ですけどね。それくらいじゃないと世界一にはなれないと思いました。
清水:車体剛性が低下する恐れは?
伊藤:強度が落ちた意味がない。設計にプレシャーを与えました。経営サイドはコストで苦しんでいました。
清水:どう説得したのですか
伊藤:R31の7割(コスト)でやりますと言い切りました
清水:R31よりも軽く低コスト。で、性能は世界一(驚)
伊藤:コストで何をしたかというと、徹底的にムダを省く。例えば、輸出を辞めました。英国兼にはあったけれど、それがどれだけスカイラインのプロジェクトに寄与したか。また、車種を減らしましたね。
清水:R31は沢山のモデルがありましたからね。
伊藤:結果的に収益は悪かったのです。車種を減らすということは、開発が減る。試作車を作らなくていいし、エンジンも車体も作らなくすむ。
清水:つまり、車種全体でコストダウンしたのですね。乾いたタオルをトヨタは絞ると言いますが。
伊藤:それをやるとクルマがヘンなところにいっちゃう。スカイラインは商品性を損なうようなところでコストを下げるのはダメだと。
加藤:横から見てもサイドマーカーもフロントバンパーにクリアランスランプがない。前から見るとヘッドランプしかない。輸出しないからできた。
清水:加藤さん、伊藤さんってどんな人?前にして言いにくいと思うけど。
加藤:もともとの親分なんですね。人に聞かないで、自分で調べて、納得するまで動かない。伊藤さんの掌の上で遊ばされた感じでしたね。非常に心地よく。
清水:なんかあればオレが責任とるって言っていますけど。
加藤:伊藤さんに責任とらせちゃまずいのです。こんなにやりやすい状況はないわけだから。
伊藤:ところでR32はテスト中はホントに事故がなかったです
加藤:ちょうどムスメが生まれるときです。日産の村山工場の近くに住んでいて、社宅からテストコースまで30分くらい。当時はRB26がよく壊れたのですよ。壊れるとエンジン屋さんが何で壊れたのか報告しないといけない。厚木に持って帰ってエンジン降ろして積んでね。走行初めると煙拭いてまた壊れる。いまでこそエンジンのターボ交換を上からするのが常識ですけど、それはオレが始めたのです。日産のプロトコルはエンジン降ろして作業することでした。でもそんな時間はないのです。会社は六時で大体終わりですがいったん家に帰ってメシを喰って、八時頃になるとまた作業所に入るのです。
清水:夜中にターボを交換したのですか?
加藤:そうです。いまじゃダメですけど。当時はね。でも楽しかった。というよりも「このサスどうなるのか」取り憑かれていましたからね。走らないことには結果が出せないですから。
清水:後輩にはどんなアドバイスをしていますか?
加藤:プロジェクトの人間に言ってまたのが、クルマは人々の幸せのためにある。そのクルマを使ってくれる人が幸せだって思えるクルマを作れと。
そういうクルマにするために、いろんな携わる人が魂込めて作れば、乗る人に伝わる。作る側も楽しい、幸せです。
清水:スカイラインは面白いメンバーでしたね。
加藤:一癖、フタクセ、でもそういうのが、仕事ができるんじゃないですか。
清水:秀才集めたわけじゃなくて野武士を集めた。
加藤:80点の優等生が集まっても面白くない。コレだって言う人
清水:これから大事ですよね。個性の時代だから。クルマ作りだけじゃない。人間が個性的じゃないと個性的なクルマはできない。
加藤:伊藤さん、キャラ変わりましたね。
伊藤:ぼくも好き勝手に生きています。
清水:いや二人とも14年前に聞いた話と軸がブレていません(笑)


【清水和夫メールマガジン】第15号 アーカイブス 2011.7.25

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年7月25日 第15号
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モビリティとはなにか 後篇

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 前回は東日本大震災に直面し、モビリティの意味を見直してみようということを書きました。そしてこれから求められる多様性についてどうあるべきか私の考えを書きたいと思います。

 自動車は都市部でしばしば不要論すら議論されますが、公共交通のない地方で自動車は平時でもライフラインでした。自動車は人々の生活には欠かせない移動手段であり、移動することが生きることそのものなのです。被災地で医療チームの移動をアシストするボランティア活動を続けながら、自動車は人々にとって生きるための道具であると改めて知りました。これは自動車が誕生した100年前の社会から振り返ると理解できます。

 人々が自由に移動できるようになって、欧米では街の概念が19世紀の馬車の時代から変化しました。人々は子供を育てやすい郊外に住み、街の中心部は働く場所と定義づけた。こうして都市の中心部と郊外という概念ができあがったのです。その意味では自動車が街を作ったといっても過言ではないでしょう。

 それは現代の新興国を見ても同じです。成長著しいインドの都市では出稼ぎに来る父親をみかけます。しかし彼は交通手段がないため、通勤していません。もしも20km離れた場所に移動できる交通手段があれば、家族にひと切れのパンを与えることができるのです。オートバイに四人乗ったり、小型軽トラックの荷台にあふれんばかりの人々が乗った姿は戦後の日本と同じといえます。

 しかし生きるための道具として自動車が普及するとともに、公害や事故が必ずクローズアップされます。これは自動車先進国が通ってきた共通の問題です。今の新興国は日本の1960~70年代と同じような状況かもしれません。日本ではこの時代に国民車たる軽自動車以外の小型乗用車は贅沢品と扱われていました。年間の交通事故死者が1.6万人におよんだ1970年頃は「自動車は走る凶器、走る棺桶」と揶揄されました。私が免許を取得し、自動車に乗り始めた時代です。

 排ガス規制が施行されると自動車は公害車ともいわれました。現代でも次世代車たるエコカーのことを「低公害車」と書かれる場合があります。あるいは「凶器・棺桶・公害」という不名誉なレッテルを貼られたのは、自動車の普及の段階で性悪説に立たされていたからではないでしょうか。

 そして現代は円高、関税問題、電力不足など自動車産業は今までにない新たな挑戦を強いられています。しかし、そろそろ自動車のレッテルを張り替える時期に来ているのではないでしょうか。皮肉にも震災で自動車が重要なライフラインであることが再認識されたことで、自動車はもっと多くの人々に役にたつべきだと意を強くしたのです。つまり、自動車性悪説のレッテルを取り除くことで、自動車が社会や人々の暮らしにどのように役立つのか、根本から考え直す時期と考えられるのです。

 現代の新車の安全性は驚くべき進化を遂げています。例えばスバルのアイサイトのように自動的にブレーキをかけてくれたり、人間の目が届かない場所をレーダーやカメラで見張ってくれて、歩行者や後続車の接近を警報する装置も実用化しています。これまでのように凶器や棺桶とは呼ばせない技術といえるでしょう。

 環境性能では有楽町で吸う空気よりも最新の日本車のテールパイプから排気ガスを吸ったほうが綺麗といえるかもしれないくらいです。つまり、最新の自動車は都市部の大気を浄化しているといえます。燃費でもマツダのスカイアクティブというガソリンエンジンが登場し、ハイブリッドシステムがなくてもリッターあたり30kmの走行が可能となりました。

 多くの人がEVこそ次世代の自動車だと思っていますが、これからが本当にガソリンやディーゼル車が進化する時代となったのです。しかも自動車は見方を変えれば動く発電機といえます。トヨタ・ヴィッツのような小型車一台で50世帯に電力を供給できる能力を持っているのです。

 安全性が高められた自動車は、公害車としての側面だけではなくライフラインとしての意義をもっと重視されるべきです。そして、いまこそ自動車はさらに多様化し、石油以外のエネルギーでもエンジンはクリーンに燃焼することができるようになる必要があるのです。電気、水素、バイオマス、エタノール、天然ガスなど多様なエネルギーを使って、人々が移動してこそ、地産地消が可能となります。だから、一人でも多くの人の役にたちたいと願うなら、自動車の多様化が不可欠なのではないでしょうか。

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【DST#番外篇】2010年ダブルレーンチェンジトップ10、3位~1位 / 10 best Double lane change(4分55秒)
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自然エネルギーの宝庫 ノルウェーから ?@ / MITSUBISHI i-MiEV (6分57秒)
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ジャガーXJで本州最北端の地へ / JAGUZR XJ (5分33秒)
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入門用GT3? ポルシェ・ケイマンR/PORSCHE Cayman R(4分0秒)
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911カレラGTSでみちのくドライブ!/PORSCHE 911 Carrera GTS(7分27秒)
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Wheel Talk! 第21回 12/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分0秒)
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Wheel Talk! 第21回 15/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(6分17秒)
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2012年8月11日土曜日

【清水和夫メールマガジン】第14号 アーカイブス 2011.7.10

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清水和夫メールマガジン~自動車大航海時代~
2011年7月10日 第14号
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モビリティとはなにか

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 今年の東京モーターショーが掲げたテーマは「スマートモビリティシティ2011」。聞こえは良いのですが、どのように人々が移動し、どんなライフスタイルを求めているのか、その具体的なイメージはあまり湧いてきません。

 もし、次世代の自動車がすべてEVとなり、その電気エネルギーはグリッドで家とクルマが繋がると思っているなら、それは残念ながらある断面的な現象にすぎないかもしれません。確かに都市部やコンパクトシティと呼ばれるコミュニティでは小さなEVが便利でしょうし、高齢化社会が進めばスモールEVのニーズは高まるでしょう。しかし、EVはバッテリーに電気を蓄える容量や充電時間のハードルが依然として高くそびえ立っており、そう簡単にEVはガソリン車にとって代われないでしょう。

 この話は専門家の間でも常識であり、EVを推進する三菱自動車や日産自動車の技術者達も知っています。今、日本で起きているEV旋風の半分は政治的に一部の世論が電力ありきのエネルギー政策を推し進めるために行っていることであり、マスコミは知ってか知らずか、その空気をさらに高めています。

 間違ったEV政策が推進されているのは、どの企業も政治家も自己中心的になりすぎ、社会全体を見渡すリテラシーが不足していたからと言えます。そもそもの「自動車とはなにか」という根源的なことがわからなかったのです。自動車は移動手段の一つとはいえ、愛好家にとっては別の意味もあります。しかし、今回は趣味性については議論しません。

 人々にとって、移動することとは何でしょうか? 東日本大震災が起きてみて、初めて移動することがどんなに大切なことなのか、知ることになりました。今回は人々の移動とその手段として発展してきた自動車のこれからについて考えてみたいと思います。その考察から次世代のモビリティのあり方が提案できればと考えます。

 モビリティという概念は、人々が自由に移動するという意味を持っているので、そこに公共性があろうがあくまで個人の移動手段であろうが構いません。大切なことは移動手段の「多様化」が21世紀という時代の気分であり、高齢化社会を見据えるならなおさ「多様化」は頭に入れておくべきポイントでしょう。

 さて、前述のように今年は多くの日本人にとって忘れることのできない災害が起きました。東日本大震災はその被災規模の大きさからいって、極めて異例の出来事といえます。前例がないために、専門家と呼ばれる人達も狼狽しています。

 地震の直後に襲った津波で、多くの街やクルマが呑み込まれました。自衛隊がその救援活動を開始しましたが、ここで初めて道路の重要性や、ガソリンなどの自動車燃料の大切さがわかったのです。

 つまり、被災地では自動車はもっともラジカルなライフラインだったのです。着の身着のままで助かった人々や波に呑まれても九死に一生を得た人達が少なくありませんでしたが、自動車があれば暖を取ることができましたし、余震で恐怖に震えることもなく内陸部に逃げることもできました。何よりも衣食は自動車で移動することで解決できたのです。

 数度にわたり津波が襲いましたが、最初の津波からは逃げのびたものの、生活に必要な自動車を取りに行って第二の津波で被災した人も少なくありません。自動車がライフラインであると理解していた人が被害にあったのは残念です。

 次回はモビリティの本来の目的についてよく検証し、求められる多様化とは何かについて書きたいと思います。

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【DST#024】MINIクーパーSクロスオーバー・オール4 vs 日産ジューク16GTフォー(加速減速篇) / MINI Cooper S Crossover ALL4 vs NISSAN Juke 16GT four(5分16秒)
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【DST#024】MINIクーパーSクロスオーバー・オール4 vs 日産ジューク16GTフォー(ダブルレーンチェンジ篇) / MINI Cooper S Crossover ALL4 vs NISSAN Juke 16GT four(3分18秒)
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北欧デザインだけじゃない ボルボC30 2.0eアクティブ / VOLVO C30 (4分52秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?@/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分33秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?A/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分32秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?B/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(4分50秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?C/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(4分40秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?D/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分18秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?E/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(6分44秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?F/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(6分38秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?G/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(6分38秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?H/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(6分38秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?I/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分30秒)
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Wheel Talk! 第21回 ?J/16「2011年前半を総括し、今後を占う」(5分30秒)
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